今回はゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルをご紹介します。
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルはバッハと同い年で同じドイツの出身同ですが、バッハとは対照的な人生を歩みました。
バロック時代はオペラオラトリオの黄金時代と呼ばれるオペラ量産時代でした。その中でもこういう一際派手で美しいオペラ・オラトリオを書いたのがヘンデルです。バロック時代の音楽はこのヘンデルなしには語れません。
ヘンデルは作曲家としてはもちろん、実業家としても非常に成功した人です。入場料を払う形で市民向けにコンサートを開催するという今では当たり前の方法もヘンデルが先駆けてやっていました。
この記事では豪快でやり手のヘンデルの人生とこれだけをおさえておきたい名曲をご紹介します。
ヘンデルは1685年現在のドイツザクセンーアンハルト州のハレに生まれました。
17歳でハレの大聖堂のオルガン奏者に任命され、18歳でハンブルグに、そして21歳でオペラ発祥の地イタリアへ移住して次々とオペラやオラトリオ発表しました。
当時のイタリアはオペラの中心都市でイタリア人以外のオペラ作品が評価されることはまずなかった時代だったんです。にもかかわらず、ヘンデルは異例の超人気で作品の上映は大成功でした。
1710年にヘンデルはドイツに戻り、ハノーヴァー選帝侯の宮廷楽長を務めながらもイギリスに定住していました。ドイツにいるハノーヴァー選帝侯はヘンデルに帰国命令を何度も出していたのですが、ヘンデルはずっと無視し続けていました。非常に肝が据わっています。
ところが1714年にそのハノーヴァー選帝侯がイギリス国王をジョージ1世として即位したため、ヘンデルも王もイギリスに行くことになります。ヘンデルは活動拠点を完全イギリスに移すこととなりました。
そんなヘンデルが即位した王と和解するために、テムズ川で行われた王の舟遊びの曲として演奏したと長年言われてきたのが「水上の音楽」という曲です。
皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?華やかさと軽やかさがある気品高い曲ですね。
最近の研究では1717年の別の舟遊びで演奏されたという記録が見つかりました。
和解のエピソードは事実ではないという風にも考えられていますが、19世紀にはこのエピソードをもとにした絵も描かれています。ヘンデルは1719年に作られたオペラ運営会社「王室音楽アカデミー」の中心人物として数百にのぼるオペラを上演しました。
1728年に倒産した後も事業を引き継ぎ「新ロイヤル音楽アカデミー」を立ち上げました。ところがヘンデルを嫌う投資家たちが対抗して、「貴族オペラ」を設立します。しかもファリネッリという当時の大人気歌手を招聘したことで、その争いは泥沼化していきます。
数年後には両社共倒となりヘンデルは多額の負債を抱えることになりました。ヘンデルはイギリスで活動し始めてからもしばらくイタリア語のオペラを発表していましたが、徐々に売れなくなってきました。そこでヘンデルは英語のオラトリオ作曲するようになります。
イタリア語のオペラには馴染めなかった中流階級から広く人気を集めることができました。そのオラトリオの中でももっとも有名なのが「メサイア」という曲です。キリストの生涯を題材にしたオラトリオです。この曲は「ハレルヤ」という名前で知られていますね。
楽器の軽やかな旋律4声に分かれて旋律が重なり合う盛り上がります。そして天にも届きそうな力強い「ハレルヤ」という大合唱がキリストを盛大に讃えています。
当時の地元紙でも「メサイヤ」は音楽史上最高の作品と評されたほど秀逸な作品です。
このオラトリオの爆発的なヒットに加え、オラトリオはオペラよりも上演コストが低いといったメリットもあり、メサイアの収益はすさまじいものでした。
倒産で多額の負債を抱えたヘンデルはメサイヤ(救世主)に文字通り救われたと言われています。余談ですが、ヘンデルは交友関係も広く、富と名声を手に入れた音楽家です。
自宅にはヴァトーやプッサンという有名な画家の作品が60作品以上あり、1日6回も食事を取るようなグルメで、ボルドーの赤ワインを特に好んで飲んでいたといわれています。当時の新聞にはそんなヘンデルを揶揄して描かれました。豚がオルガンを弾いている風刺画が掲載されました。
せっかくなのでもう一曲ご紹介したいと思います。これは「ユダス・マカベウス」という曲です。また、この曲は日本では表彰式や卒業式の BGM としておなじみの曲ですね。曲名は「ユダス・マカベウス」の「見よ、勇者は帰る」です。
オリンピックの表彰式でも使われていたので知らない人はほとんどいないのではないでしょうか。
1884年には賛美歌の歌詞が付けられ、欧米諸国ではクリスマスの歌としてもよく歌われます。このオラトリオは1745年から1746年のジャコバイトの反乱の鎮圧で活躍したカンバーランド公爵の帰還を祝うために書かれた曲です。
「メサイア」に次いで人気のオラトリオで当時ロンドンに住んでいた5000人のユダヤ人が熱狂したと言われています。美しい旋律が何度も繰り返しさまざまな楽器で演奏されるシンプルな構成です。音の重なりもシンプルで、雑味のない澄んだ曲です。最後になるトランペットは高揚感も感じさせます。
今日ご紹介しきれなかった作品の中にも名曲がたくさんあります。おすすめの曲をいくつか載せておきますので、ぜひお気に入りの一曲を探してみてください。
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