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監督 | 外崎春雄 |
評価 | 4.00 |
解説
吾峠呼世晴の人気コミックを原作にアニメ化した「竈門炭治郎 立志編」の最終話の続編となる劇場版。鬼に家族を殺された少年と仲間たちが、鬼との新たな戦いに立ち上がる。アニメーション制作をufotableが手掛け、ボイスキャストを竈門炭治郎役の花江夏樹をはじめ鬼頭明里、下野紘、平川大輔らが担当するなど、アニメ版のスタッフやキャストが集結した。
あらすじ
蝶屋敷での修業を終えた“鬼殺隊”の竈門炭治郎は、短期間で40人以上が行方不明になった“無限列車”を捜索する任務に就く。妹の竈門禰豆子を連れた炭治郎と我妻善逸、嘴平伊之助は、鬼殺隊最強の剣士“柱”のひとりである炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を進む無限列車の中で鬼を相手に戦い始める。
映画レポート
昨年放送された「鬼滅の刃」テレビシリーズが広く支持された理由のひとつに、作劇が丁寧だったことが挙げられると思う。テレビシリーズの序盤、家族を鬼に殺され妹を鬼に変えられた炭治郎は、鬼殺隊に入るための修行に愚直にとりくむ。映像化のさい尺の都合で省かれがちなところも丁寧に描いた積み重ねが、シリーズ後半で大きな効果を発揮した。
原作コミック約1.5冊分(7~8巻)のエピソードを映像化した劇場版でも、汽車という限定された舞台のなか、夢のギミックを使うことで登場人物たちの心情を細やかに描いている。鬼殺隊の当主が剣士たちの眠る墓地を歩くオリジナルのシーンを冒頭に入れたことも、単独の映画として成立させる大きな役割をはたしているように感じた。
本作のキーマン“煉獄さん”こと煉獄杏寿郎は、柱(はしら)と呼ばれる鬼殺隊トップ9人に選ばれた凄腕剣士。最初は、とっつきにくい我が道をいく人物に見えるが、柱になったの頃の回想が入ることで、過酷な戦いに身を投じる彼の信念と情熱が浮かびあがる。キャラクターが抱えるドラマとの相乗効果で、大迫力のバトルはよりエモーショナルなものとなり、キャスト陣の声が枯れるほどの熱演も相まって、後半はスクリーンに“全集中”させられたまま一気に駆け抜けていく。
ufotableがこれまで積み上げてきたアニメーションの細部へのこだわりが、さり気なく施されているところも大きな見どころ。テレビシリーズで目を引いたフレッシュな映像表現「水の呼吸」に続いて、劇場版では煉獄の「炎の呼吸」が登場する。錦絵を参考に作画と3DCGのハイブリッドで絢爛豪華に描かれた大アクションには、とがった映像によくある見辛さはまったくない。エンターテインメントに徹した裾野の広い映像化でありつつも、線を均一にするのが標準のアニメに強弱のある漫画タッチの描線をとりいれ、炭治郎の隊服の市松模様も省略せず手描きで描かれている。(五所光太郎)
監督 | 大森貴弘 |
評価 | 3.62 |
解説
すみっこにいることが好きなキャラクター、すみっコたちが登場する劇場版アニメの第2弾。5年に1度の青い大満月の夜、すみっコたちが住む町に魔法がかけられる。監督を『夏目友人帳』『デュラララ!!』シリーズなどの大森貴弘、脚本を『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズなどの吉田玲子が担当。アニメーション制作は前作に続きファンワークスが手掛ける。
あらすじ
秋のある一日。すみっコたちはキャンプに出かけていた。夜になり、ぺんぎん? が月にまつわる伝説を思い出す。それは、5年に一度の青い大満月の夜、すみっコたちが暮らす町に魔法使いがやってくるというものだった。空に巨大なブルームーンが浮かんでいたその夜、町全体に魔法がかけられる。
監督 | クリス・バック |
評価 | 3.78 |
解説
第86回アカデミー賞で歌曲賞、長編アニメ映画賞を受賞した『アナと雪の女王』の続編。姉エルサの氷と雪を操る力の秘密に迫る。前作に引き続き、監督をクリス・バックとジェニファー・リー、エルサ役の声優をイディナ・メンゼル、アナ役をクリステン・ベルが務めた。
あらすじ
凍てついたアレンデール王国を救い、確固たる絆で結ばれたエルサとアナの姉妹は、幸せに暮らしていた。ある日エルサは、自分にしか聞こえない不思議な歌声を耳にする。その歌声に導かれるように姉妹は仲間の山男クリストフ、雪だるまのオラフと一緒に旅に出る。
映画レポート
社会現象を巻き起こした前作から5年。ついに続編がキター!
アレンデール王国の女王となった姉エルサは、妹アナと固い絆で結ばれ、平和な日々を送っていた。が、あるときエルサだけが“不思議な歌声”を聞く。「この平穏を脅かしたくない」と耳をふさごうとするが歌声は強まり、ついに王国に危険が迫る。エルサはアナと、アナの彼氏であるクリストフ、雪だるまのオラフ、トナカイのスヴェンとともに歌声に導かれ、旅に出る。それは自身を知るための壮大な冒険の始まりだった――。
なぜ、エルサにだけ力が与えられたのか? それに二人の両親はどうして亡くなったの? 前作で残されていた意外に大きな謎を解明する続編。物語の必然性は十分だ。
まず印象的だったのは音楽。「未知との遭遇」のあの5音階のごとく印象的な“歌声”は冒頭から耳に残り、それが主題歌へとつながっていく。ビジュアルはさらに美しく壮大に、なめらかになり、エルサの魔法能力も格段にパワーアップ。 風・火・地・水の精霊が登場する世界でさまざまな試練をクリアしていく展開は、RPG的なワクワクも含んでいる。もちろんおしゃべりオラフのユーモアも健在だ。人気をかっさらいそうな、新キャラも登場する。
前作で「ありのままに」と自分を肯定し、解放したエルサだが、やっぱりちょっと心配性で、なんでも一人で抱え込もうとする気質は変わっていない。そんな姉を補完するのが、妹アナの存在なのだ。本作ではアナがよりしっかり者に成長し、ときにエルサを?咤し、正しき方向に導く。前作はエルサのめざめ、今回はアナのめざめ、と言えるかもしれない。
そして旅の終わりに明らかになる重大な真実は、大きなメッセージを含んでいる。「過去の過ちを認め、正さなければ、未来はない」――アナ雪世代の子どもたちは、きっと正しく受け取ってくれるに違いない。(中村千晶)
監督 | loundraw |
評価 | 3.46 |
解説
映画化もされた小説「君の膵臓をたべたい」「君は月夜に光り輝く」の装画などで知られるイラストレーター、loundrawが監督を務めた短編アニメーション。“サマーゴースト”と呼ばれる幽霊にまつわる都市伝説をめぐり、インターネットを通じて出会った少年少女のひと夏を描く。アニメーション制作をloundrawが設立した FLAT STUDIO、脚本を作家・乙一としても知られる『シライサン』などの安達寛高、音楽を『朝が来る』などの小瀬村晶が担当。主人公の声を小林千晃が務める。
あらすじ
花火をすると現れるという若い女性の幽霊“サマーゴースト”という都市伝説がささやかれていた。そんな中、高校生の杉崎友也、春川あおい、小林涼の3人はインターネットを通じて知り合う。親に逆らえない友也は自分の夢に踏み出せず、学校でいじめられているあおいはどこにも居場所がなく、涼は病気により明るい未来を諦めていた。それぞれに葛藤を抱える彼らは、サマーゴースト探しに乗り出す。
監督 | 龍輪直征 |
評価 | 4.19 |
解説
桜日梯子によるボーイズラブコミックを原作とするアニメで、人気エピソードを基にした劇場版。“抱かれたい男1位”だったベテラン俳優とその座を奪った新人俳優のカップルが、フラメンコを取り入れた舞台で共演することになる。ボイスキャストには、主人公二人を担当する小野友樹と高橋広樹のほか速水奨、落合福嗣、鳥海浩輔、羽多野渉らが名を連ねる。監督を本作のアニメ版やアニメシリーズ「ニセコイ」などの龍輪直征が務める。
あらすじ
5年連続で抱かれたい男1位になった俳優の西條高人は、新人俳優の東谷准太にその座を奪われてしまう。あるとき、高人と准太はフラメンコを取り入れた二人舞台「血の婚礼」で共演する。高人は情熱について学ぼうと、准太の故郷でもあるスペインを訪れる。一方、准太はかつて高人に一方的に別れを告げられたことがずっと気にかかっていた。
監督 | まんきゅう |
評価 | 4.25 |
解説
たれぱんだ、アフロ犬、リラックマなどのキャラクターで知られるサンエックスによるすみっコぐらしの劇場版アニメ。寒がりで人見知りのしろくまをはじめ、ぺんぎん?、とんかつたちが、絵本の世界に迷い込む。監督を『アイドルマスター』シリーズなどのまんきゅう、ナレーションを井ノ原快彦、本上まなみが務める。
あらすじ
「喫茶すみっコ」にやってきたすみっコたちが、地下室で発見したとびだす絵本を見ていると、仕掛けが動き始めて絵本の中に吸い込まれてしまう。絵本の世界ですみっコたちは、自分が誰かわからないひよこ? と出会い、ひよこ? の家を捜すことにする。
監督 | 藤井道人 |
評価 | 3.78 |
解説
士郎正宗のコミック「攻殻機動隊」を原作にしたフル3DCGアニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」のシーズン1を再構成した劇場版。傭兵(ようへい)部隊として戦争に身を投じる草薙素子率いる公安9課のメンバーが、新たな敵であるポスト・ヒューマンに立ち向かう。総監督はシリーズを支えてきた神山健治と荒牧伸志、監督は『ヤクザと家族 The Family』などの藤井道人が担当する。草薙素子役の田中敦子、荒巻大輔役の阪脩、バトー役の大塚明夫、トグサ役の山寺宏一など、アニメシリーズを支えてきたボイスキャストが結集している。
あらすじ
全ての国家を揺るがした経済災害「全世界同時デフォルト」の発生とAIの驚異的な進化によって、計画的かつ持続化が可能になった戦争「サスティナブル・ウォー」が勃発。全身義体のサイボーグ・草薙素子とバトーら元公安9課のメンバーは、傭兵(ようへい)部隊としてアメリカ大陸西海岸での戦闘に参加し、類まれな戦闘スキルと電脳を活用しながら躍動していた。そんな彼らの前に驚異的な知能と身体能力を持つ「ポスト・ヒューマン」が出現する。
監督 | 今掛勇 |
評価 | 1.70 |
解説
宗教団体・幸福の科学の大川隆法が製作総指揮・原作を手掛ける、『UFO学園の秘密』『宇宙の法-黎明編-』に続くアニメーションシリーズ。地球人と宇宙人が共存する地球で、地球を破壊しようとする敵から人類を守るべくスペースヒーローたちが集結する。ボイスキャストは『僕の彼女は魔法使い』などの千眼美子のほか、大原さやか、新井里美、掛川裕彦など。監督はシリーズ前2作に引き続き、今掛勇が務める。
あらすじ
1億5,000万年前の地球では、地上に降臨した地球神エローヒムの統治の下、宇宙人と地球人が共存していた。しかし、破壊を好むケンタウルスβ(ベータ)星人が裏宇宙の使者・ダハールと手を組み、巨大隕石(いんせき)爆弾を地球に投下しようとする。地球の窮地にスペースヒーローたちが集結し、ベガ星の女戦士ヤイザエルを総司令官に立ち向かう。
監督 | 河森正治 |
評価 | 4.33 |
解説
アニメシリーズ『マクロスΔ』に登場する戦術音楽ユニット「ワルキューレ」の停戦記念ライブを描く劇場版。新音楽ユニット「Yami_Q_ray(ヤミキューレ)」も登場し、バルキリー隊の活躍とワルキューレの歌の力で紛争を沈静化させたことを記念するライブが行われる。監督は本作のアニメ版や『劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ』の総監督を務めた河森正治。ボイスキャストを内田雄馬、鈴木みのり、瀬戸麻沙美などが担当する。
あらすじ
西暦2068年。銀河辺境にあるウィンダミア王国と新統合政府の間で起こった紛争は、ハヤテ・インメルマンらが所属する「バルキリー隊」と、戦術音楽ユニット「ワルキューレ」の歌の力により治まった。停戦を記念し、ワルキューレのフレイア・ヴィオンの故郷でもあるウィンダミアでライブが開催されることになる。
監督 | 藤田春香 |
評価 | 4.51 |
解説
2018年に放送され人気を博したアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の外伝。名門女学園を舞台に、貴族の娘が教育係として現れた元少女兵と奇妙な絆を育む。監督を務めるのはアニメ版のシリーズ演出を務め、『響け!ユーフォニアム』シリーズなどに携ってきた藤田春香。ボイスキャストに石川由依、寿美菜子、悠木碧、子安武人、内山昂輝、遠藤綾らがそろう。
あらすじ
白椿が咲き乱れ、良家の娘のみが通学を許される名門女学園に通う大貴族ヨーク家の跡取り娘イザベラ・ヨークは、父親と交わしたある契約が原因で学園生活が苦痛でしかなかった。あるとき、彼女の専属教育係として元少女兵ヴァイオレット・エヴァーガーデンが学園に派遣される。彼女はC.H郵便社で、代筆を通して人の心に触れることができる自動手記人形といわれる代筆業に就いていた。
監督 | 上田慎一郎 |
評価 | 1.71 |
解説
SNSで100日にわたって投稿され話題を呼んだ、きくちゆうきの4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」をアニメ映画化。ワニの何げない日常や、ワニがいなくなった後の仲間たちの姿を描く。『カメラを止めるな!』シリーズなどの上田慎一郎と『こんぷれっくす×コンプレックス』などのふくだみゆきが監督・脚本、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズなどに携ってきた湖川友謙がコンテ・アニメーションディレクトとして参加。ボイスキャストは、神木隆之介が主人公ワニの声を務めるほか、中村倫也、木村昴、新木優子らが名を連ねる。
あらすじ
桜が満開となった3月、仲間たちと約束した花見の場にワニの姿はなかった。心配した親友のネズミが迎えに行く途中、桜を撮影した写真を仲間たちに送るが、ワニのスマートフォンは路上に転がっていた。花見までの100日間、入院中のネズミを見舞ったり、仲間たちとラーメンを食べたり、ワニの日常は至って普通のものだった。花見の日から100日後の雨の季節、仲間たちはまだワニの死に向き合うことができず、互いに連絡を取ることも少なくなっていた。
監督 | 廣田裕介 |
評価 | 3.11 |
解説
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣が手掛けた絵本、「えんとつ町のプペル」を原作にした劇場版アニメーション。煙に覆われた町を舞台に、えんとつ掃除人の少年と、ゴミから誕生したゴミ人間の冒険を描き出す。西野は製作総指揮と脚本を担当し、廣田裕介が監督を担当する。『鉄コン筋クリート』や『海獣の子供』などのSTUDIO4°Cが、アニメーション制作を担う。
あらすじ
煙に覆われたえんとつ町で暮らす人々は空を見たことがなく、ましてや空には輝く星があるなどと信じる者は誰もいなかった。だが、えんとつ掃除人の少年ルビッチだけは父親の教えを信じ、空を見上げては、煙の向こうにはきっと星があるはずだと思っていた。町の住人たちはそんなルビッチを笑い者にし、一人ぼっちになってしまった彼が出会ったのは、ゴミ人間プペルだった。
監督 | 河野亜矢子 |
評価 | 3.97 |
解説
アニメやゲームなどさまざまな形で展開されている『ソードアート・オンライン』シリーズで、原作者の川原礫自らリブートした小説をアニメ映画化。同シリーズの原点であるデスゲームの舞台「アインクラッド」攻略の軌跡を、ゲームに巻き込まれた少女の視点で描く。制作は過去作から引き続きA-1 Pictures、監督は河野亜矢子、キャラクターデザイン・総作画監督は戸谷賢都が担当。ボイスキャストは松岡禎丞、戸松遥が続投し、原作には登場しない新キャラクターを水瀬いのりが務める。
あらすじ
次世代オンラインゲーム「ソードアート・オンライン」が始動し大勢のプレーヤーが参加するが、彼らはゲームマスターによって仮想空間に閉じ込められてしまう。さらにゲームをクリアするまでログアウトはできず、ゲーム内での死は現実の死を意味することを告げられる。ネットゲームとは無縁だった少女・アスナは生き残りを懸け、舞台となる鋼鉄の浮遊城「アインクラッド」の攻略に動き出す。極限の状況下で、彼女は孤高の剣士・キリトと出会う。
監督 | 吉浦康裕 |
評価 | 4.24 |
解説
『イヴの時間』シリーズや『サカサマのパテマ』などの吉浦康裕が監督・原作・脚本を務め、女優の土屋太鳳らがボイスキャストに名を連ねたアニメーション。学業優秀でスポーツ万能、何かと言えばミュージカル調で歌い出す主人公が、転校先の学校で周りの人たちを幸せにしていく。ボイスキャストは土屋のほか、福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡などが担当する。
あらすじ
高校生のシオンは転校初日、クラスで孤立するサトミに「わたしが幸せにしてあげる」と宣言し、ミュージカルのように歌い出す。変わり者だが勉強もスポーツもでき、明るいシオンは、すぐにクラスに溶け込む。そして、ところ構わず歌い出したり、突飛な行動で周りを騒動に巻き込んだりしながら、サトミやクラスメートたちの心を動かしていく。
監督 | クリス・バック |
評価 | 3.66 |
解説
アンデルセンの童話「雪の女王」をヒントに、王家の姉妹が繰り広げる真実の愛を描いたディズニーミュージカル。触れた途端にそのものを凍結させてしまう秘密の力を持つ姉エルサが、真夏の王国を冬の世界に変えてしまったことから、姉と王国を救うべく妹アナが雪山の奥深くへと旅に出る。監督は、『サーフズ・アップ』のクリス・バックと『シュガー・ラッシュ』の脚本家ジェニファー・リー。愛情あふれる感動的なストーリーはもちろん、美しい氷の世界のビジュアルや個性的なキャラクター、壮大な音楽など、ファンタジックな魅力に酔いしれる。
あらすじ
エルサとアナは美しき王家の姉妹。しかし、触ったものを凍らせてしまう秘められた力を持つ姉エルサが、真夏の王国を冬の世界に変化させてしまった。行方不明になったエルサと王国を何とかすべく、妹のアナは山男のクリストフ、トナカイのスヴェン、夏に憧れる雪だるまのオラフと一緒に山の奥深くへと入っていく。
映画レポート
主題歌賞、長編アニメーション賞のオスカー2冠に輝き、全世界興収ナンバーワンアニメの座も射程圏内ときては、しばらくディズニーアニメから遠ざかっていた向きも放っておけないだろう。この大成功をもたらした最大の理由は、もちろんブロードウェイの一流スタッフ・キャストを起用して、大人も堪能できるミュージカルに仕上げたことにある。
雪の女王となるエルサ(トニー賞女優イディナ・メンゼル)がオスカー受賞曲「Let It Go」を歌い上げるなか、ディズニーならではのハイクオリティのCGアニメで氷の城が築き上げられていく壮麗さ。ディズニーアニメ初のWヒロインの対照的なキャラと苦悩を見せるアナとエルサのデュエットの重厚さ。その迫力はどれも期待以上。そうした熱唱系ナンバーで高揚させ、夏に憧れる奇妙な雪だるまオラフが歌うコミカルなナンバーで楽しませるあたりは、さすがディズニー。アメリカでは観客がスクリーンに合わせて一緒に歌える〈Sing Along Version〉が公開されて、さらに興収を伸ばしているというのも頷ける。いや、ほんと、思わず熱唱したくなる「Let It Go」の威力、恐るべし。
わかりやすい「善と悪」の対立ではなく、「愛と恐れ」を描く物語もまた巧い。ディズニー・クラシックの伝統を引き継ぐ“王子様のキス”を織り込んだり、アナと冒険をともにするオラフの無償の愛に目頭を熱くさせたりしつつ、現代社会でも数々の悲劇を生んできた「孤立」を避けるためにはどうあるべきかにも気づかせるのだ。子供も素直に楽しめる世界だが、大人ならひねりの効いたストーリーやユーモアに感心せずにいられなくなる。これでアナを取り巻く2人の男子キャラが日本人の目にもイケメンに見えるデザインだったら、女子的にも萌えだったのだが……。とはいえ、最初はアナにも不気味がられるオラフといい、それぞれの内面が伝わるキャラクターデザインはやはりお見事。今度の冬は、オラフ型の雪だるまが増えそうだ。(杉谷伸子)
監督 | 石立太一 |
評価 | 4.28 |
解説
第5回京都アニメーション大賞の小説部門で初の大賞を受賞した暁佳奈の小説を原作にしたアニメの新作劇場版。代筆をしている少女と1通の手紙をめぐる物語が描かれる。アニメーション制作の京都アニメーション、監督の石立太一やキャラクターデザイン・総作画監督の高瀬亜貴子、ボイスキャストの石川由依、浪川大輔らスタッフやキャストはアニメ版の面々がそろった。
あらすじ
戦争が終わってから数年後、再び平穏が訪れ人々の生活は新しい技術の開発によって変わりつつあった。代筆業に従事するヴァイオレット・エヴァーガーデンは、大切な人がいなくなった世界で、その人への思いを抱えながらこれからの人生を歩もうとしていた。ある日、1通の手紙が見つかる。
監督 | 細田守 |
評価 | 3.75 |
解説
『おおかみこどもの雨と雪』や、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた『未来のミライ』などの細田守が監督を務めたアニメーション。“もうひとつの現実”と呼ばれる巨大インターネット空間の仮想世界を舞台に、心に傷を抱え自分を見失った17歳の女子高生が、未知の存在との遭遇を通して成長していく。企画・制作は、細田監督らが設立したアニメーション制作会社・スタジオ地図が担当する。
あらすじ
高知の田舎町で父と暮らす17歳の女子高生・すずは周囲に心を閉ざし、一人で曲を作ることだけが心のよりどころとなっていた。ある日、彼女は全世界で50億人以上が集うインターネット空間の仮想世界「U」と出会い、ベルというアバターで参加する。幼いころに母を亡くして以来、すずは歌うことができなくなっていたが、Uでは自然に歌うことができた。Uで自作の歌を披露し注目を浴びるベルの前に、ある時竜の姿をした謎の存在が現れる。
映画レポート
「時をかける少女」(2006)公開から15年間、3年ごとに新作をつくってきた細田守監督の全部乗せプラスアルファのような作品――豪華絢爛なビジュアルと音楽に圧倒されながら、すごいところにたどり着いたなと驚かされた。大スケールの物語を紡ぐために途方もない物量が注ぎこまれた手描きと3DCG両輪のアニメーションは、映画をつくり続けてきたスタッフの情熱と蓄積があったから実現できたのだろう。
「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」(2000)、「サマーウォーズ」(09)と約10年おきにインターネット世界を題材にした映画を手がけてきた細田監督は、ネットが人の暮らしを変えることを肯定的に描いてきた。本作では「美女と野獣」を発想の原点に、ネットが当たり前のものとなった今の社会で生きる少女が現実と仮想の2つの世界で葛藤しながら成長していく。
主人公のすずは幼い頃に母を亡くしてから、大好きな歌が歌えなくなった引っ込み思案な17歳。彼女は仮想世界でフォロワー3000万人超えのバーチャル歌姫・ベルとして輝かしく羽ばたき、そこで「竜」と呼ばれて恐れられている謎の存在に出会う。美しい仁淀川と鏡川が流れる高知県の田舎町と、見ているだけで楽しくなるグラフィカルな巨大ネット都市「U」を横断しながら、ネット系のガジェットとそれを使った画面や動画がインサートされ、グローバル化した世界を舞台にSNSでありがちな振る舞いや炎上騒ぎなども軽やかに戯画化される。
大きくフィーチャーされた歌のほか、恋愛と友情、親子のドラマ、地方都市の風景など、これまでの細田作品にあった魅力的な要素と新しい挑戦がつめこまれ、「美女と野獣」のプリンセスと同じ名前であるベルが、心を閉ざして野獣のように振るまう竜と踊るシーンまである。サービス満点でエンタメ方向に振りきっているようにみえて、最後まで見ると映画の芯となる部分が刻みこまれているのも心に残った。(五所光太郎)
監督 | サラ・スミス |
評価 | 3.74 |
解説
最新式ロボット型デバイスと友達のいない少年が本当の友情を探す様子を描いたアニメーション。友達を探す機能を持つロボット型デバイスと少年が出会い、空回りしながらも奮闘する"二人"を描く。制作はロックスミス・アニメーション、監督をジャン=フィリップ・ヴァインとサラ・スミスが担当する。
あらすじ
インターネットや写真撮影、通話、ゲームなどの機能を備え、乗り物としても利用でき、友達になってくれる上に仲間探しもしてくれるロボット型デバイス「Bボット」。しかし、孤独な少年バーニーの元にやって来たのは、オンライン接続もできない不良品のロンだった。アナログなロンはバーニーの仲間を探すことができず、バーニーはロンに友達の作り方から教えることになる。
監督 | 山田尚子 |
評価 | 4.13 |
解説
元ガキ大将の主人公と聴覚障害があるヒロインの切ない青春を描いた大今良時のコミックを基に、『けいおん』シリーズなどの山田尚子監督が手掛けたアニメーション。主人公の少年が転校生の少女とのある出来事を機に孤立していく小学生時代、そして高校生になった彼らの再会を映し出す。アニメーション制作を京都アニメーション、脚本を『ガールズ&パンツァー』シリーズなどの吉田玲子が担当。ボイスキャストには入野自由と早見沙織らが名を連ねる。
あらすじ
西宮硝子が転校してきたことで、小学生の石田将也は大嫌いな退屈から逃れる。しかし、硝子とのある出来事のために将也は孤立し、心を閉ざす。5年後、高校生になった将也は、硝子のもとを訪れることにし……。
映画レポート
激しい起伏に富んだ見せ場が満載のアクション映画は“ジェットコースターのよう”と形容されるが、大今良時の同名漫画に基づくこの長編アニメはまさに“感情のジェットコースター”だ。青春期の鬱屈と混乱を真正面から描くとともに、そこに揺らめく切なさと悲しみ、焦燥と絶望がとてつもなく切実で、エモーションの濃度も震度も純度もただならぬレベルに達している。
主人公の石田将也がジェットコースターな暗黒の青春を送るはめになったきっかけは、ガキ大将だった小学6年生の時、先天性聴覚障害を持つ転校生の西宮硝子をイジメ抜いたこと。それに加担した級友たちから手のひら返しを受け、自分がイジメの被害者になった彼は硝子への仕打ちを悔いるが、彼女は再び転校して消え去ってしまう。そして高校3年生になった5年後、硝子と再会を果たした将也の贖罪のドラマが始まる。
序盤のイジメ描写のリアルさに居心地の悪さどころか胸くその悪さすら覚える人もいようが、メインの高校時代に差しかかると物語の本当のテーマが浮かび上がってくる。それはコミュニケーション、すなわち大切な誰かに自分の気持ちを伝えるということ。「ごめん」「ありがとう」「友だちになりたい」「好き」。本作はこうしたシンプルな思いを相手に届けることの難しさを容赦なく執拗に描く一方、人間の表情や仕種の多様さ、さらには手話や言葉にならない声の響きの豊かさを表現する。京都アニメーションの新作だけに、桜の花びらや川面のきらめきといった情景の美しさも特筆もの。トラウマにもがき苦しむ少年と、予想外のリアクションを連発する少女がぎこちなく距離を縮めていく過程が、かけがえのない一瞬一瞬を連ねるようにして映像化され、その端正で繊細な演出に舌を巻く。
とはいえ、これは将也と硝子のラブ・ストーリーではない。原作と同じく“わかりやすい”展開をあえて拒絶する本作は、後半部分を群像劇として発展させながら、もどかしい現実と必死に格闘する少年少女を描き続ける。その作り手の真摯なパッションは観る者の共感を誘うにとどまらず、しばしば胸を射貫くような驚きを呼び起こす。例えばヒロインの硝子が、自己嫌悪の塊である将也との別れ際に見せる「またね」という身振り。その意表を突いたタイミングで指し示される手話の慎ましいアクションに、このアニメ映画が私たちに伝えようと試みる素朴で愛おしい感情が凝縮されている。(高橋諭治)
監督 | 志水淳児 |
評価 | 3.78 |
解説
常夏のように明るく、メイクでプリキュアに変身するヒロインが主人公のアニメ「トロピカル~ジュ!プリキュア」の劇場版。夏海まなつことキュアサマーたちが雪の王国から出られなくなってしまい、「ハートキャッチプリキュア!」の登場人物たちが助けに駆けつける。ボイスキャストにはファイルーズあいや日高里菜、花守ゆみり、石川由依、瀬戸麻沙美、田中あいみ、ゲスト声優の松本まりかなどが参加。監督をアニメ版の演出や『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』などの志水淳児が務める。
あらすじ
夏海まなつたちは雪の王国シャンティアの新女王に即位したシャロンの祝典に招待される。人魚の国の女王になることを目標としているローラは、シャロンと親しくなり、指輪をプレゼントされる。ところが謎の怪物が現れ、まなつたちも王国に閉じ込められてしまう。そこへ「ハートキャッチプリキュア!」のメンバーがやって来て、まなつたちと協力して敵に立ち向かう。
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