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監督 | レスリー・セランダー |
解説
西部の村ブラックウェルで広大な牧草地を所有するマイクの元に、農業の移住団がやってきた。しかし農業に必要な水はマイクの土地にある。移住者は水を求めたが、マイクは頑なに拒否していた。両者の対立はやがて、マイクの弟の死を招いてしまう。移住団の一人、コニーだけはマイクに同情的だったが、対立は激化していく一方だった……。西部開拓に常に付きまとっていた、牧畜業者と農業従事者の対立を軸に描いたヒューマン・ドラマ。
監督 | ジェイムズ・サミュエル |
評価 | 3.86 |
解説
[Netflix作品]ラッパーのジェイ・Zがプロデューサーに名を連ね、ヒップホップを背景に復讐(ふくしゅう)を果たそうとする主人公を描く西部劇。両親を殺した悪党へのリベンジを決意した荒くれ者の男が、個性的な仲間たちと共に強敵を相手に銃撃戦を繰り広げる。主人公を『ザ・ファイブ・ブラッズ』などのジョナサン・メジャース、敵を『マンデラ 自由への長い道』などのイドリス・エルバが演じるほか、レイキース・スタンフィールド、レジーナ・キングなどが共演。監督をジェームズ・サミュエルが務める。
あらすじ
荒くれ者のナット・ラヴ(ジョナサン・メジャース)は20年前に両親を殺害した悪党のボス、ルーファス・バック(イドリス・エルバ)が刑務所から釈放されることを知る。荒野の強者たちを引き連れたルーファスに復讐(ふくしゅう)すべく、ナットは元恋人のメアリー(ザジー・ビーツ)らくせ者たちと共に最強の敵に挑む。
監督 | ロバート・シオドマク |
評価 | 3.00 |
解説
19世紀のアメリカ、インディアンと騎兵隊の戦いは熾烈をきわめていた。そんな折り、数々の武勲を上げたカスター将軍は、第七騎兵隊を率いることとなった。彼は雌雄を決せんと、インディアンに総攻撃をかける。しかし、彼が夢にも思わなかったシャイアン族とスー族の連合軍の前に、第七騎兵隊は壊滅する……。歴史に名高い“リトル・ビッグ・ホーンの大虐殺”を、カスター将軍に視点をすえて描いた、インディアン史映画。
監督 | アール・ベラミー |
解説
メキシコのある村から財宝が盗まれた。ホアキンは盗賊たちを追って、カリフォルニアにやって来る……。メキシコの英雄ホアキン・ムリエタの活躍を描いたTVムービーだが、日本では劇場公開された。
監督 | デヴィッド・バトラー |
評価 | 3.09 |
解説
西部開拓時代に実在した男勝りの女ガンマン、カラミティ・ジェーンと親友のワイルド・ビル・ヒコックの恋の行方を描いたドリス・デイ主演の異色のミュージカル・ウエスタン。デッドウッドと呼ばれる西部の小さな町。ここに、そのお転婆ぶりからカラミティ(大災難)とあだ名される名うての女ガンマン、ジェーンがいた。まるで男勝りの彼女に、親友のワイルド・ビル・ヒコックも友情以上の感情が芽生えることはなかった。ある日ジェーンは、町にスターを連れてくると約束しシカゴへと向かうが、間違って付き人の女の子を連れてきてしまう。
監督 | エンツォ・G・カステラッリ |
評価 | 3.00 |
解説
流れ者の男が、小さなタマネギ畑を買い取った。前の持ち主は、その土地を買収しようとする石油会社によって、殺されたという。それを知った男は、新聞記者と協力して、会社一味と対決する……。F・ネロ主演による“風来坊”ものの一作。
監督 | クエンティン・タランティーノ |
評価 | 3.52 |
解説
クエンティン・タランティーノが放つ、ウエスタン仕立てのミステリー。男女8人が閉じ込められた、雪嵐の山小屋で起きた殺人事件の意外な真相を映し出す。ベテランのサミュエル・L・ジャクソンをはじめ、『デス・プルーフ in グラインドハウス』などのカート・ラッセル、『ミセス・パーカー/ジャズエイジの華』などのジェニファー・ジェイソン・リーらが顔をそろえる。彼らが織り成すストーリー展開はもちろん、タランティーノ監督が仕掛ける謎と伏線が張り巡らされた物語にくぎ付け。
あらすじ
雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、同じ稼業であるジョン(カート・ラッセル)と彼が捕らえたデイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)を乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブ(デミアン・ビチル)や怪しげな絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)などの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。
映画レポート
「クエンティン・タランティーノのセリフほど役者に言ってみたいと思わせるものはないぜ」と、サミュエル・L・ジャクソンは言った。「ヘイトフル・エイト」の撮影現場でのことだ。サムに限ったことではない。カート・ラッセルもマイケル・マドセンもティム・ロスも、みんながセリフに夢中。どの言い方が最高に効果を発揮するかを探りながら、何度も何度もテイクを重ねていた。それも嬉々として!
見ればなるほど、と思うだろう。クエンティン8作目、2度目の西部劇は彼のトレードマークがいっぱい。とくに前半は本筋とは関係なさそうな、しかし型破りなキャラクターを語るユニークな会話がこれでもかと続くのだ。ときは南北戦争の6~10年後。ワイオミングで猛吹雪に見舞われた駅馬車が山小屋の雑貨店に到着。賞金稼ぎや賞金首、自称新任保安官やカウボーイ、処刑人など、憎悪に満ちた嫌われ者の8人が吹雪に閉じ込められた密室でお互いを罠に掛け合い、騙し合う。チャプター(章)立ての構成も、後半に時制軸を戻して話を転がすストーリーテリングもお馴染みの手法だし、バイオレンスも血しぶきもたっぷりで西部劇版「レザボア・ドッグス」と呼ぶこともできるだろう。ただしこれが新しいのは、ミステリーの要素が盛り込まれている点だ。
とはいってもミステリーらしからぬ展開で、後半はアッと言わされっぱなし。謎解きや伏線がどうのというより、やはりクエンティン名物の「矛盾に満ちたキャラクター」、「先が読めない急旋回」がお楽しみなのだ。そしてそこにはクエンティン自身が感じてきた、差別というアメリカの病巣が浮かび上がってくる。それをあぶり出す役者たちの、まるで舞台劇のような芝居の見事なこと! クエンティン組スーパースターズに一歩も引けをとらない紅一点、ジェニファー・ジェイソン・リーの破壊力はブリザード級だ。これは間違いなく、クエンティンがまた極めたと言える一作なのである。
それにしても忘れてならないのは、これが70ミリフィルムの「ウルトラ・パナビジョン70」で撮影された映画だということだ。クエンティンは70ミリの映写機を使って序曲と休憩、プログラムをつけたロードショー形式の上映を、アメリカでは約100館の映画館で実現させている。これはクエンティンが自分を育ててきた本物の映画体験を観客に味わってほしいという願いにほかならない。なのに日本では1館たりともこの形の上映ができないなんて……無念だ!(若林ゆり)
監督 | ジェームズ・マンゴールド |
評価 | 4.09 |
解説
刑務所に連行される強盗団のボスと彼を護送する牧場主との男同士のきずなを描く西部劇。1957年公開の異色西部劇『決断の3時10分』のリメイクで、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のジェームズ・マンゴールド監督がメガホンを取る。主演は『グラディエーター』のラッセル・クロウと『ダークナイト』のクリスチャン・ベイル。さらに、ピーター・フォンダやベン・フォスターら癖のある俳優が脇を固める。早撃ちなどのアクションはもちろん、男のプライドのぶつかり合いに胸が熱くなる。
あらすじ
地主からの嫌がらせで、馬小屋に火を放たれたダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)一家。営んでいる牧場の生活は苦しくなる一方で、ダンと家族の溝は深まっていた。そんな折、卑劣な悪事を繰り返すベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が逮捕され、3日後の3時10分発の汽車でユマの刑務所へ連行されることに。危険な道をたどるウェイドの護送を、ダンは男の誇りに懸けて引き受ける。
映画レポート
リメイクの鍵はキャスティングにある。オリジナルと比べてどうひねるか。あるいは、どの部分を平行移動させるか。
この力学は「3時10分、決断のとき」でも働いている。いや、リメイクのみならず、オリジナル(「決断の3時10分」)でもキャスティングには工夫が凝らされていた。なにしろ、悪役にグレン・フォードが起用されているのだ。役どころを考えると、線の細い印象は否みがたい。もちろん、理由はある。
新作の悪役ベンに扮するのはラッセル・クロウだ。ベンは腕が立って頭が切れる。人好きのするクールなサイコといいかえてもよい。日ごろ善玉役を演じることの多いクロウに、この役はこなせるのだろうか。
一方、ベンを護送する貧しい牧場主ダンを演じるのは「ダークナイト」や「アメリカン・サイコ」のクリスチャン・ベールだ。こちらは逆に「家庭人」のイメージが似合わない。さあ、監督のジェームズ・マンゴールドはどんな采配を振るって話を転がすのか。
が、この前提に仕掛けがある。善玉が悪玉を護送する話と考えれば首もひねりたくなろうが、サイコとサイコのもつれ合いと考えれば、構図は意外と呑み込みやすい。しかもマンゴールドは、ふたりのサイコの周辺に、もっとわかりやすいサイコの群れを配置する。ベンに恋い焦がれる配下の殺し屋にせよ、ベンの首を狙う賞金稼ぎにせよ、その言動は異様と呼ぶほかない。なるほど、そうか。私は映画の途中でうなずいた。そもそものはじまりは、毒蛇と毒蛇のもつれ合いだったのだ。それをエスカレートさせて、さらに意想外な着地点を探す。マンゴールドも、ずいぶん手の込んだ構図を考えついたものではないか。
監督 | ジェーン・カンピオン |
評価 | 未評価 |
解説
[Netflix作品]『ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩(うた)~』などのジェーン・カンピオンが監督を務めたドラマ。冷酷な牧場主が、ある女性をめぐって弟に激しい憎しみを抱く。『クーリエ:最高機密の運び屋』などのベネディクト・カンバーバッチ、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』などのキルステン・ダンスト、ジェシー・プレモンス、コディ・スミット=マクフィーらが出演する。
あらすじ
1920年代のアメリカ・モンタナ州。周囲の人々に畏怖されている大牧場主のフィル(ベネディクト・カンバーバッチ)は、夫を亡くしたローズ(キルステン・ダンスト)とその息子ピーター(コディ・スミット=マクフィー)と出会う。ローズに心を奪われるフィルだったが、弟のジョージ(ジェシー・プレモンス)が彼女と心を通わせるようになって結婚してしまう。二人の結婚に納得できないフィルは弟夫婦に対して残忍な仕打ちを執拗(しつよう)に続けるが、ある事件を機に彼の胸中に変化が訪れる。
監督 | クリント・イーストウッド |
評価 | 3.99 |
解説
荒事からは足を洗っていたウィリアム・マニーの元へ若いガンマンが訪れる。娼婦に傷を負わせ賞金をかけられた無法者を追うためだ。マニーのかつての相棒ネッドを加えた3人は追跡行に出かけるが、その頃、町の実力者の保安官ビルは疎ましい賞金稼ぎたちを袋叩きにしているところだった。やがてビルの暴力が黒人であるネッドにも及んだ……。
監督 | アントワーン・フークア |
評価 | 3.68 |
解説
黒澤明の傑作『七人の侍』と同作をリメイクした『荒野の七人』を原案にした西部劇。冷酷非道な悪に支配された町の住人から彼を倒してほしいと雇われた、賞金稼ぎやギャンブラーといったアウトロー7人の活躍を追う。メガホンを取るのは、『サウスポー』などのアントワーン・フークア。『トレーニング デイ』『イコライザー』でフークア監督とタッグを組んだデンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホンらが結集する。熱いストーリーと迫力のアクションに注目。
あらすじ
悪漢バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)によって牛耳られ、絶望を感じながら生きているローズ・クリークの町の人々。住民の一人であるエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)は、賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)、ギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)、流れ者、拳銃の達人といった7人の男を雇って、バーソロミューの手から町を救い出すように頼む。金のためと割り切って戦いに身を投じるサムやジョシュだったが……。
映画レポート
昨年10月、黒澤明監督の「七人の侍」(54)が4K画質でデジタル修復され、「午前十時の映画祭」枠で上映された。そんな絶好のタイミングで「マグニフィセント・セブン」の公開である。そう、本作は「七人の侍」を西部劇に翻案した米映画「荒野の七人」(60)のリメイクだ。村を無法者に狙われた村民たちが、7人の腕の立つガンマンを雇い、連中との戦いへと突入していく。
ただ今回の「マグニフィセント・セブン」は、7人のメンバーが多様な人種で構成され、そして依頼主は女性という、時代の変化に従った異同が見られる。無法者が村を襲うのにも今日的な動機が与えられ、ガンファイトもド派手な現代アクションの流儀に沿ったものだ。ただ派手になったぶん、7人のキャラや個性も強度を高め「こいつら全員、誰も死なないのでは?」と不安がよぎる。が、そこはキチンと「荒野の七人」が有する殉死の美学へと、収まるところに収まっていくので安心を(何の安心だか)。
しかし本作「荒野の七人」をベースにしているものの、遡って「七人の侍」の良点をも取り込んでおり、宣伝に偽りなしだ。特にデンゼル・ワシントン扮するリーダー、サムのモミアゲとヒゲは、無毛なユル・ブリンナーではなく、志村喬に容姿を似せているのが明白だろう(デンゼルは黒澤映画好きを公言している)。
ただ「七人の侍」にも「荒野の七人」にもない要素を、今回デンゼルは秘めている。志村演じる勘兵衛もブリンナーが演じるクリスも、村民たちからの懇願を受けて村を守る。しかしデンゼルの場合、そこには自分なりの思惑があって戦いに加担するのだ。
その思惑が明らかになるところから、本作は「七人」モノの外殻を蹴破り、デンゼルが何者かのために復讐の鬼となる「マイ・ボディガード」(04)や「イコライザー」(14)属性を放ち始める。そう「マグニフィセント・セブン」は「七人の侍」「荒野の七人」そして「デンゼル無双映画」という、三つの伝統すべてを備えたフル充填バージョンなのだ。
ここまで細かく配慮した作品だけに、もしやB級映画の帝王ロジャー・コーマンが製作した「宇宙の7人」(80・「七人の侍」のSF翻案)のエッセンスも含まれているのでは? と思ったら、音楽が故ジェームズ・ホーナーではないか(氏は「宇宙の7人」の音楽を担当)。エルマー・バーンスタインによる有名なメインテーマを荒々しく編曲したそれは、デビュー時の才気煥発たるホーナーを強く感じさせるものがある。「~侍」「荒野~」どころか「宇宙の7人」の衣鉢をも継ぐデンゼル無双として、フークワ監督は自身初の西部劇を抜かりなくモノしたと断言できるのだ。(尾崎一男)
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