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サスペンス映画の魅力といえば、先の読めない展開と作中に漂う緊張感ですよね。2021年6月、菅田将暉主演でそんな最高サスペンスのど真ん中を貫くような映画が公開されました。SEKAI NO OWARIのボーカル・Fukaseが本作で俳優デビューしたことでも大変話題になりましたね。
本記事では、そんな映画『キャラクター』のあらすじや見どころ、考察を紹介します。グロくて怖いのに時間を忘れて見入ってしまう絶妙な面白さを持つこの映画。一度見た人も一緒に感想を語り合う気持ちでぜひご覧ください!
2021年6月に公開されたサスペンス映画『キャラクター』。PG12指定の「グロい」映画として話題となり、その強烈な世界観にハマる人が続出しました。ここでは、そんな映画『キャラクター』の基本情報を紹介します。
『キャラクター』は映画版だけでなく小説版とマンガ版も発売されています。映画脚本・小説版の執筆・マンガ版の原案ともに長崎尚志氏が、マンガ版の作画はいわや晃氏が担当しました。小説版は小学館〈小学館文庫〉から、漫画版は小学館〈ビッグコミックス〉から発売されています。
映画『キャラクター』ネタバレしない程度にあらすじを紹介しましょう。主人公は、高い画力を持ちながらもアシスタントから抜け出せない漫画家、山城圭吾(やましろ けいご)。
恋人にも優しく人に気を使える「よい人」だが、それゆえにリアルな悪役を描くことができず貧しいアシスタント生活を続けていた。そんな彼はある日、アシスタントとしてスケッチを行っていた住宅街で偶然殺人事件を目撃。
犯人の顔を見た山城は、犯人を漫画に描き「34(さんじゅうし)」というサスペンス漫画を執筆。一躍タワマン住みの人気漫画家となる。
しかし、それを機に殺人犯が山城漫画を模倣して殺人事件を起こすようになり…。
映画『キャラクター』の主題歌はACAね(ずっと真夜中でいいのに。)×Rin音 Prod by Yaffle「Character」です。MVはYouTubeで公開されています。
映画を見る前にチェックしておきたい見どころを3つ紹介します。
菅田将暉、小栗旬、高畑充希、中村獅童…とにかく映画『キャラクター』のキャストは豪華。主役級の役者が集まり抜群の演技力を発揮しています。特筆すべきはSEKAI NO OWARIのボーカル・Fukaseが本作で俳優デビューしたこと。最初は話を断るつもりだったが監督に「そのままでいいから」と言われて出演を決めた…と語っています。彼が演じる殺人鬼は、ゾッとする狂気と柔らかい優しさを合わせ持った独特の雰囲気があり、その演技力の高さが話題となりました。
主人公の山城は殺人事件を偶然目撃したことで念願夢だった人気漫画家になります。しかし、自分の作品が模倣され被害者が出ていることに恐怖を感じ、連載の休止を申し出ました。その一方で、作品作りには食事を忘れるほど没頭し、ずっと描けなかった悪役を夢中になって描き続けるのです。社会的倫理観や自分の中の正義感、ずっと抱えていた漫画家としてのコンプレックスの間で揺れ動く山城が不可解な事件に巻き込まれている展開は、まさに目が離せません。
漫画家や小説家がキャラクターを描くとき、そこに自分の人格は投影されているのか?善良な人は邪悪な悪役を描けない?本作は山城の制作活動を通して芸術と現実の狭間のラインに対する問題提起を行いました。もちろん両角のように殺人漫画を模倣して殺人事件を起こすのはアウトですが、では現実に起こった殺人事件からインスピレーションを受けて漫画を描くのは許されるのでしょうか?
漫画のキャラクターが自分の分身だと考えるなら…。山城の中に潜む「悪」を封じ込めているのは、今にも崩れ落ちそうな「理性」なのでは?その理性を崩そうとする模倣犯が現れたら…人間の中にある悪をじわじわと突きつけてくる展開は、本作の大きな見どころです。
山城は漫画を描いているの?それとも漫画に描かされているの?ここでは知っているだけで作品がグッと面白くなる考察を3つ紹介します。
序盤で山城と夏美が山城実家を訪ねるシーン。ここにもいくつかの伏線があります。まず、山城実家なのに先に入るのは夏美。山城母親とも、夏美の方が親しげに話しています。
さらに山城に「圭吾くん、身体だけは気をつけてね」と伝える母親。一見優しい母親に思えますが、どこか他人行儀な感じがあります。
ここで「ん?」と思った人は多いはず。この違和感の正体はラスト20分で明らかになりますよ。
中盤、山城と妻の夏美が病院から帰るシーン。山城が子どもの性別を尋ねるも夏美は上手くはぐらかします。
このとき夏美は子どもが双子であることを知っていたのでしょう。ここであえて事実を明かさないことで「実は山城も『幸せな四人家族』である」という設定から、読者の目を遠ざけようとしていると考えられます。
作中で描かれる山城の仕事部屋と両角の部屋はとてもよく似ています。山城は両角の部屋を訪れたことはありませんし、両角もラストシーンまで山城のタワマンを訪れたことはありません。それなのに、二人の部屋は薄暗く、写真や資料が煩雑に壁に貼られており雰囲気が非常によく似ています。これは、山城と両角が持つ共通点を暗示しているのでしょう。
映画『キャラクター』は先の読めない展開にどんでん返しの連続で、夢中になってイッキ見してしまいました。「よい人」なあまり悪役が描けない漫画家アシスタント山城が持つ、悪人に対するコンプレックスと正義感の間で揺れ動く様子がよく描かれていますし、葛藤に苦しむ山城を演じ切った菅田将暉も「さすが」です。
面白いのは、両角が山城に対して憧れを持っているのに対し、山城は両角を忌み嫌っているところ。山城が両角に対し嫌悪感を抱くのは、単に両角を殺人犯として軽蔑しているからだけでなく、山城の中にある両角との共通点が刺激されることの恐怖への裏返しなのではないかと感じました。
全体的に面白かったですが、個人的にはちょっと突っ込みどころも。
・山城は、そもそもなぜサスペンス漫画家になることにこだわっていたのか?
・警察が一般市民を危険に晒しておとり捜査…?死亡者も出ている事件なのに…?
・九条村とは…?保護されたはずの両角はなぜ戸籍がないまま生きていた?
・辺見は両角のファン…?頼まれて殺人までする…?なぜ…?
…いろいろと挙げましたが、サスペンス映画なので細かいところは気にしない方が楽しめるかも。よい感じにミステリー感があり、役者の演技も安定しており、休みの日にサクッと見るにはちょうどよいと思います!(少しグロいですが…)
映画『キャラクター』はU-NEXT(見放題対象)やFODプレミアム(見放題対象)、Amazonプライムビデオ(レンタル)などで視聴できます。個人的に俳優陣の演技だけでなく主題歌もよくマッチしていて驚きました!ちょっとグロいですが、王道のサスペンスを貫きながら人間の本質まで問う非常にクオリティの高い作品だと思います。伏線も多いので、いろいろと勘案するのも楽しいかも。ぜひ今すぐネットで作品名を検索してください!
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