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監督 | 吉浦康裕 |
評価 | 4.26 |
解説
『イヴの時間』シリーズや『サカサマのパテマ』などの吉浦康裕が監督・原作・脚本を務め、女優の土屋太鳳らがボイスキャストに名を連ねたアニメーション。学業優秀でスポーツ万能、何かと言えばミュージカル調で歌い出す主人公が、転校先の学校で周りの人たちを幸せにしていく。ボイスキャストは土屋のほか、福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡などが担当する。
あらすじ
高校生のシオンは転校初日、クラスで孤立するサトミに「わたしが幸せにしてあげる」と宣言し、ミュージカルのように歌い出す。変わり者だが勉強もスポーツもでき、明るいシオンは、すぐにクラスに溶け込む。そして、ところ構わず歌い出したり、突飛な行動で周りを騒動に巻き込んだりしながら、サトミやクラスメートたちの心を動かしていく。
評価 | 4.42 |
解説
アカデミー賞で作品賞など6部門を受賞した映画『巴里のアメリカ人』を原案に舞台化し、トニー賞振付賞などを受賞したミュージカルの劇場版。第2次世界大戦後のフランス・パリで、画家を目指すアメリカ人の青年が美しいダンサーの女性と出会う。出演はニューヨーク・シティ・バレエ団出身で『キャッツ』などにも出演するロバート・フェアチャイルド、イギリスのロイヤル・バレエ団出身のリアン・コープなど。演出と振付はクリストファー・ウィールドンが手掛けている。
あらすじ
第2次世界大戦が終わり、アメリカ人の退役軍人ジェリー・マリガン(ロバート・フェアチャイルド)は、フランス・パリで画家になることを夢見ていた。ある日、彼は若く美しいダンサーのリズ(リアン・コープ)と運命的な出会いを果たす。
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
評価 | 1.00 |
解説
1961年に映画化もされたブロードウェイミュージカルを、スティーヴン・スピルバーグ監督が映画化。1950年代のアメリカ・ニューヨークを舞台に、移民系の二つのグループが抗争を繰り広げる中で芽生える恋を描く。脚本と振付は、共にトニー賞受賞歴のあるトニー・クシュナーとジャスティン・ペックが担当。主人公を『ベイビー・ドライバー』などのアンセル・エルゴート、ヒロインをオーディションで選出されたレイチェル・ゼグラーが演じるほか、1961年版でオスカーを受賞したリタ・モレノらが出演する。
あらすじ
1950年代のニューヨーク・マンハッタンのウエスト・サイド。貧困や差別による社会への不満を抱えた若者たちは同胞の仲間たちとグループを作り、それぞれに敵対し合っていた。ある日、ポーランド系移民の「ジェッツ」の元リーダーであるトニー(アンセル・エルゴート)と、対立するプエルトリコ系移民の「シャークス」のリーダーの妹マリア(レイチェル・ゼグラー)が出会い、一瞬で恋に落ちる。その禁断の恋は、多くの人々の運命を変えていく。
監督 | バイロン・ハワード |
評価 | 未評価 |
解説
南米コロンビアの奥地を舞台に、魔法の力が備わる家に暮らすヒロインの活躍を描いたディズニー・アニメーション・スタジオによるミュージカルアニメ。一人だけ“魔法のギフト”をもらえなかった少女が、魔法の力を持つ家の危機を知って立ち上がる。監督を務めるのは『ズートピア』で監督と共同監督として組んだバイロン・ハワードとジャレド・ブッシュ。映画化もされたブロードウェイミュージカル「イン・ザ・ハイツ」などのリン=マヌエル・ミランダが音楽を担当する。
あらすじ
南米コロンビアの奥地にある、魔法の力を持つ不思議な家。そこに暮らすマドリガル家の子供たちは、“魔法のギフト”を家からプレゼントされるが、ミラベルだけが魔法のギフトをもらえなかった。しかし、家に危険が迫っていることを知った彼女は、家族を守るために行動を起こす。
監督 | デイミアン・チャゼル |
評価 | 4.10 |
解説
『セッション』などのデイミアン・チャゼルが監督と脚本を務めたラブストーリー。女優の卵とジャズピアニストの恋のてん末を、華麗な音楽とダンスで表現する。『ブルーバレンタイン』などのライアン・ゴズリングと『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などのエマ・ストーンをはじめ、『セッション』でチャゼル監督とタッグを組んで鬼教師を怪演したJ・K・シモンズが出演。クラシカルかつロマンチックな物語にうっとりする。
あらすじ
何度もオーディションに落ちてすっかりへこんでいた女優志望の卵ミア(エマ・ストーン)は、ピアノの音色に導かれるようにジャズバーに入る。そこでピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会うが、そのいきさつは最悪なものだった。ある日、ミアはプールサイドで不機嫌そうに1980年代のポップスを演奏をするセバスチャンと再会し……。
映画レポート
ハイウェイの渋滞に業を煮やした人々が踊り出すプロローグのダイナミックなミュージカルシーンは、運搬橋を舞台にキャラバン隊が踊る「ロシュフォールの恋人たち」を連想させる。一方、エピローグで恋人たちの数年後に話が飛ぶところは、「シェルブールの雨傘」を思わせる。ジャック・ドゥミ監督のミュージカル映画へのオマージュがブックエンドをなす「ラ・ラ・ランド」には、他にも「バンド・ワゴン」のエレガントな公園のダンスから「世界中がアイ・ラヴ・ユー」の空中浮遊まで、新旧ミュージカル映画のエッセンスが詰め込まれている。が、デイミアン・チャゼル監督の本領はそうした引用のうまさではなく、リアルな描写からファンタジーへとミュージカルシーンをなめらかに昇華させるテクニックを心得ていることだろう。恐るべき32歳だ。
ミュージカル映画定番の「芸能界の内幕物」に属するストーリーも魅力だ。女優志望のミア(エマ・ストーン)と売れないジャズマンのセブ(ライアン・ゴズリング)が繰り広げる愛らしいラブストーリーには、2種類の悲哀が宿っている。ひとつはアーティストの悲哀。生活のために売れ線のバンドに加わるセブと、才能の限界を感じるミア。妥協を突きつけられる2人の揺れる心情が切なさをかきたてる。もうひとつは恋愛の悲哀。人生の浮き沈みのタイミングのすれ違いが恋愛の行方を微妙に左右する設定は、ハラハラさせると同時に胸をキュンとしめつける。
この2種の悲哀が絡み合ってドラマを生む構成は「ニューヨーク・ニューヨーク」と同じだが、主人公を見守りたいと思わせる共感度の高さは「ラ・ラ・ランド」が勝っている。それがラストで生きる。かなった夢とかなわなかった夢、逃した幸福とつかんだ幸福。誰もが経験するであろう人生の忘れ物が走馬燈のようにかけめぐる至福の15分間。これを見たら、インスピレーションの元になった「巴里のアメリカ人」のビンセント・ミネリ監督も誇りに思うに違いない。(矢崎由紀子)
監督 | リン=マヌエル・ミランダ |
評価 | 4.33 |
解説
[Netflix作品]ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」「ハミルトン」などに携わってきたリン=マヌエル・ミランダが監督を務めるミュージカル。ミュージカル「RENT/レント」の作詞・作曲・脚本などで知られるジョナサン・ラーソンの実話を基に、最高のロックミュージカルを作ることを夢見る青年の奮闘を描き出す。『アメイジング・スパイダーマン』シリーズなどのアンドリュー・ガーフィールドが主人公にふんし、アレクサンドラ・シップ、ロビン・デ・ヘスス、ヴァネッサ・ハジェンズ、ジョシュア・ヘンリーなどが脇を固める。
あらすじ
1990年、アメリカ・ニューヨーク。30歳を目前にしたジョナサン(アンドリュー・ガーフィールド)はダイナーでウェイターとして働きながら、ミュージカル作曲家になることを夢見ていた。ロックミュージカルの楽曲に何年も取り組んできたが、恋人のスーザン(アレクサンドラ・シップ)は新たな夢のためにニューヨークを離れることを願い、ほかの仲間たちも夢を諦めようとしていた。
監督 | デヴィッド・バトラー |
評価 | 3.09 |
解説
西部開拓時代に実在した男勝りの女ガンマン、カラミティ・ジェーンと親友のワイルド・ビル・ヒコックの恋の行方を描いたドリス・デイ主演の異色のミュージカル・ウエスタン。デッドウッドと呼ばれる西部の小さな町。ここに、そのお転婆ぶりからカラミティ(大災難)とあだ名される名うての女ガンマン、ジェーンがいた。まるで男勝りの彼女に、親友のワイルド・ビル・ヒコックも友情以上の感情が芽生えることはなかった。ある日ジェーンは、町にスターを連れてくると約束しシカゴへと向かうが、間違って付き人の女の子を連れてきてしまう。
監督 | スティーヴン・チョボスキー |
評価 | 未評価 |
解説
トニー賞でミュージカル作品賞を含む6冠を獲得したブロードウェイミュージカルを映画化。どこにも居場所のない孤独な少年の人生が、とっさについたうそをきっかけに一変する。『ワンダー 君は太陽』などのスティーヴン・チョボスキーが監督を担当。主人公を舞台版に続きベン・プラットが演じ、『メッセージ』などのエイミー・アダムス、オスカー女優ジュリアン・ムーア、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』などのケイトリン・デヴァーらが共演する。
あらすじ
家でも学校でも居場所のない高校生エヴァン・ハンセン(ベン・プラット)は、ある日自分宛てに書いた手紙を同級生のコナーに持ち去られる。その後コナーは自殺し、手紙を見つけた彼の両親は、文面から息子とエヴァンが友人だったと勘違いする。彼の家族をこれ以上悲しませたくない一心で、思わずエヴァンはコナーと親友だったとうそをつく。彼らに聞かれるままに語ったありもしないコナーとの思い出は、人々を感動させSNSを通じて世界中に広がっていく。
監督 | 本木克英 |
評価 | 3.14 |
解説
1969年に初演された舞台「少年たち」を映画化したドラマ。少年刑務所を舞台に、新たな入所者がもたらす少年たちの団結を映し出す。監督は『超高速!参勤交代』シリーズなどの本木克英。『バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ』などのジェシー、ドラマシリーズ「鼠、江戸を疾る」などの京本大我、『私立バカレア高校』シリーズなどの高地優吾ら、ジャニーズ事務所に所属する面々が出演する。重要文化財・旧奈良監獄でロケを行った。
あらすじ
ある少年刑務所では赤房と青房の少年たちが敵対し、それを黒房の者たちが傍観していた。そこへ1人の少年が新たに入所してくる。天涯孤独な彼は、誰にも心を開こうとせずに黙々と日記をつづっていた。ある日看守長が交代し、少年たちを暴力で支配する。看守長からの壮絶な懲罰を受ける新入りの少年は、何かと自分を助けてくれる雑居房の少年と固い友情で結ばれる。やがて圧制をエスカレートさせる看守長に対抗しようと、少年たちはある計画を進める。
監督 | クリス・バック |
評価 | 3.66 |
解説
アンデルセンの童話「雪の女王」をヒントに、王家の姉妹が繰り広げる真実の愛を描いたディズニーミュージカル。触れた途端にそのものを凍結させてしまう秘密の力を持つ姉エルサが、真夏の王国を冬の世界に変えてしまったことから、姉と王国を救うべく妹アナが雪山の奥深くへと旅に出る。監督は、『サーフズ・アップ』のクリス・バックと『シュガー・ラッシュ』の脚本家ジェニファー・リー。愛情あふれる感動的なストーリーはもちろん、美しい氷の世界のビジュアルや個性的なキャラクター、壮大な音楽など、ファンタジックな魅力に酔いしれる。
あらすじ
エルサとアナは美しき王家の姉妹。しかし、触ったものを凍らせてしまう秘められた力を持つ姉エルサが、真夏の王国を冬の世界に変化させてしまった。行方不明になったエルサと王国を何とかすべく、妹のアナは山男のクリストフ、トナカイのスヴェン、夏に憧れる雪だるまのオラフと一緒に山の奥深くへと入っていく。
映画レポート
主題歌賞、長編アニメーション賞のオスカー2冠に輝き、全世界興収ナンバーワンアニメの座も射程圏内ときては、しばらくディズニーアニメから遠ざかっていた向きも放っておけないだろう。この大成功をもたらした最大の理由は、もちろんブロードウェイの一流スタッフ・キャストを起用して、大人も堪能できるミュージカルに仕上げたことにある。
雪の女王となるエルサ(トニー賞女優イディナ・メンゼル)がオスカー受賞曲「Let It Go」を歌い上げるなか、ディズニーならではのハイクオリティのCGアニメで氷の城が築き上げられていく壮麗さ。ディズニーアニメ初のWヒロインの対照的なキャラと苦悩を見せるアナとエルサのデュエットの重厚さ。その迫力はどれも期待以上。そうした熱唱系ナンバーで高揚させ、夏に憧れる奇妙な雪だるまオラフが歌うコミカルなナンバーで楽しませるあたりは、さすがディズニー。アメリカでは観客がスクリーンに合わせて一緒に歌える〈Sing Along Version〉が公開されて、さらに興収を伸ばしているというのも頷ける。いや、ほんと、思わず熱唱したくなる「Let It Go」の威力、恐るべし。
わかりやすい「善と悪」の対立ではなく、「愛と恐れ」を描く物語もまた巧い。ディズニー・クラシックの伝統を引き継ぐ“王子様のキス”を織り込んだり、アナと冒険をともにするオラフの無償の愛に目頭を熱くさせたりしつつ、現代社会でも数々の悲劇を生んできた「孤立」を避けるためにはどうあるべきかにも気づかせるのだ。子供も素直に楽しめる世界だが、大人ならひねりの効いたストーリーやユーモアに感心せずにいられなくなる。これでアナを取り巻く2人の男子キャラが日本人の目にもイケメンに見えるデザインだったら、女子的にも萌えだったのだが……。とはいえ、最初はアナにも不気味がられるオラフといい、それぞれの内面が伝わるキャラクターデザインはやはりお見事。今度の冬は、オラフ型の雪だるまが増えそうだ。
監督 | トム・フーパー |
評価 | 3.37 |
解説
大ヒットミュージカル「キャッツ」を実写映画化。ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』などのトム・フーパーが監督を務め、猫たちの姿を生き生きと描く。『ワン チャンス』などのジェームズ・コーデン、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルダンサー、フランチェスカ・ヘイワードをはじめ、『ドリームガールズ』などのジェニファー・ハドソン、『007』シリーズなどのジュディ・デンチ、世界的シンガーのテイラー・スウィフトらが出演した。
あらすじ
空に満月が昇ったある晩、ロンドンの一角にあるゴミ捨て場には個性あふれる“ジェリクルキャッツ”が集う。それは生涯にたった一度、新しい人生を始めることができる一匹の猫が選出される特別な舞踏会が催される夜だった。
監督 | トム・フーパー |
評価 | 4.15 |
解説
文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を基に、世界各国でロングラン上演されてきたミュージカルを映画化。『英国王のスピーチ』でオスカーを受賞したトム・フーパーが監督を務め、貧しさからパンを盗み19年も投獄された男ジャン・バルジャンの波乱に満ちた生涯を描く。主演は、『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマン。彼を追う警官にオスカー俳優のラッセル・クロウがふんするほか、『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ、『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セイフライドら豪華キャストが勢ぞろいする。
あらすじ
1815年、ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、19年も刑務所にいたが仮釈放されることに。老司教の銀食器を盗むが、司教の慈悲に触れ改心する。1823年、工場主として成功を収め市長になった彼は、以前自分の工場で働いていて、娘を養うため極貧生活を送るファンテーヌ(アン・ハサウェイ)と知り合い、幼い娘の面倒を見ると約束。そんなある日、バルジャン逮捕の知らせを耳にした彼は、法廷で自分の正体を明かし再び追われることになってしまい……。
映画レポート
1985年にロンドンのウエストエンド、その後ニューヨークのブロードウェイでロングランヒットした名作ミュージカルの映画化として、堂々とした風格を備えている。
原作は150年前に書かれたビクトル・ユーゴーの「ああ無情」。19世紀の革命後のフランスを舞台にした“コケが生えた”ような物語だ。観客の多くは結末に至るまでストーリーを熟知していて、予定されたことしか起こらない。貧困や格差にあえぐ民衆たちが自由を求めて蜂起する。しかし民衆は踊らない。3・11後の初めての選挙にも関わらず、国民の4割が選挙権を放棄したいまの日本社会の姿を重ね合わせることができる。この映画の革命は、民衆たちの「無関心」により失敗に終わるのだ。フランスの三色旗が虚しくはためく。
主演のヒュー・ジャックマン(ジャン・バルジャン役)をはじめとした俳優たちの、感情がほとばしるままに溢れ出す歌声が、観ているぼくらの心を揺らす。ミュージカルとは、俳優たちが“楽器”のように全身を共鳴させて奏でる歌声(肉声)を楽しむ芸術なのだ、と改めて思い知る。
アン・ハサウェイ(ファンテーヌ役)が歌う「夢やぶれて」、サマンサ・バークス(エボニーヌ役)が歌う「オン・マイ・オウン」、そしてエディ・レッドメイン(マリウス役)らが歌う「民衆の歌」。この映画には一度聴いたら忘れられない珠玉のミュージカルナンバーが少なくとも(31曲中)3曲はある。映画がハネた後に感動と興奮そのままに、鼻歌で歌いたくなる名曲だ。とくにメインキャストたち全員による歌声が絶妙なアンサンブルを奏で始め、終いにはオーケストラのように重なり合う、クライマックスの「民衆の歌」に涙が止まらなかった。圧倒的な感動のきわみへと誘う歌の力に、全身が熱くなった。(佐藤睦雄)
監督 | ジョン・M・チュウ |
評価 | 3.80 |
解説
『モアナと伝説の海』などに携ったリン=マヌエル・ミランダによるブロードウェイ舞台劇を、彼自身の製作で映画化したミュージカル。ニューヨークの一角に暮らしながら、自分の夢を追いかける青年たちの姿を映し出す。メガホンを取るのは『クレイジー・リッチ!』などのジョン・M・チュウ。『アリー/スター誕生』などのアンソニー・ラモス、『ブラック・クランズマン』などのコーリー・ホーキンズのほか、レスリー・グレイス、メリッサ・バレラなどが出演する。
あらすじ
ニューヨークの片隅にある街、ワシントン・ハイツ。祖国を離れてそこに暮らす人々は、ストリートに繰り出しては歌とダンスに興じていた。うだるような暑さだった真夏のある夜、大停電が発生。進学、仕事、恋で悩みを抱えながらも夢に向かってまい進していた若者4人の運命が、停電をきっかけに思わぬ方向へと動き出す。
映画レポート
オリジナルの舞台ミュージカルはブッシュ政権下で誕生し、トランプ政権下で映画化された。とくに、「違法に国境を越えた者は例外なく起訴する」というトランプ政権の不寛容政策が、映画に大きな影響を与えている。主人公ウスナビ(アンソニー・ラモス)の従兄弟の不法滞在がプロットに絡むのは、映画版のオリジナルだ。
舞台は、中南米系移民が多く住むマンハッタン北部のワシントン・ハイツ。出身地のドミニカ共和国へ帰ることを夢見るウスナビを筆頭に、登場人物は全員、自分の居場所に関する葛藤や問題を抱えている。白人エリートが集う大学に入り、疎外感にさいなまれている移民2世のニーナ。一方、移民1世のアブエラは、アメリカン・ドリームを求めて故郷を離れた選択が正しかったのだろうかと述懐する。ハイツを出ていく者たちもいる。家賃の高騰にたまりかねてブロンクスへ移るのは、美容室を営む女性たち。反対に、デザイナーを志すバネッサは、より家賃の高いダウンタウンをめざす。
彼らが織りなす群像劇は、「移民にとってホームはどこか?」という、移民国家アメリカならではのテーマを掘り下げている。そして、すべての観客に、あなたは居たい場所に居るか、送りたい人生を送っているか、と問いかける。ドラマのクオリティの高さは、この映画のいちばんの魅力だ。
ミュージカル・シーンも見ごたえ満点。「ブルース・ブラザース」、「サタデー・ナイト・フィーバー」、「百万弗の人魚」、「恋愛準決勝戦」など、名作へのオマージュを感じさせる場面には、ジョン・M・チュウ監督のミュージカル映画愛が溢れている。白眉は、舞台初演からアブエラを演じているオルガ・メレディスのソロ「パシエンシア・イ・フェ(忍耐と信仰)」。地下鉄をモチーフにした幻想的な演出と、メレディスの熱唱に涙を誘われる。
オリジナルの舞台ファンには、原作&作詞&作曲を手がけたリン=マニュエル・ミランダが、ピラグア(プエルトリコのかき氷)売りの役で出演しているのも嬉しいポイント。ライバルのアイスクリーム売りを演じるのは、初代ベニー役(ニーナの恋人)のクリストファー・ジャクソンだ。(矢崎由紀子)
監督 | ラース・フォン・トリアー |
評価 | 3.40 |
解説
60年代のアメリカ。セルマは女手ひとつで息子のジーンを育てながら工場で働いている。彼女に対して理解と愛情を持つ人々に囲まれ満ち足りた生活を送っていた。ただ一つを除いて。彼女は遺伝性の病のため視力が失われつつあり、ジーンも手術を受けない限り同じ運命を辿ってしまうのだった。そのために、内職もしてジーンの手術費用を貯えていた。が、ある日工場を解雇されてしまい、貯めていたお金まで盗まれていた……。歌手ビョーク主演のドラマ。カンヌでパルムドールと女優賞を受賞。
監督 | 古川知宏 |
評価 | 4.59 |
解説
アニメと舞台がリンクするメディアミックスプロジェクトのアニメシリーズの続編となる劇場版。幼なじみと共に舞台の世界で活躍することを目指す主人公が高校3年生になり、仲間たちとの最後の公演を迎える。監督を務めるのは本シリーズのほかアニメ「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」の演出などを担当してきた古川知宏。ボイスキャストには小山百代、三森すずこ、富田麻帆、佐藤日向、岩田陽葵などが名を連ねる。
あらすじ
愛城華恋は幼いころに神楽ひかりと共に観た舞台「スタァライト」に感動し、舞台の世界でスタァになることを約束する。やがて二人は、舞台女優を志す少女たちが集う聖翔音楽学園俳優育成科で再会。そして3年生になり、華恋や仲間にとって最後の公演となる「星祭り」の日が訪れる。
監督 | クリス・バック |
評価 | 3.77 |
解説
第86回アカデミー賞で歌曲賞、長編アニメ映画賞を受賞した『アナと雪の女王』の続編。姉エルサの氷と雪を操る力の秘密に迫る。前作に引き続き、監督をクリス・バックとジェニファー・リー、エルサ役の声優をイディナ・メンゼル、アナ役をクリステン・ベルが務めた。
あらすじ
凍てついたアレンデール王国を救い、確固たる絆で結ばれたエルサとアナの姉妹は、幸せに暮らしていた。ある日エルサは、自分にしか聞こえない不思議な歌声を耳にする。その歌声に導かれるように姉妹は仲間の山男クリストフ、雪だるまのオラフと一緒に旅に出る。
映画レポート
社会現象を巻き起こした前作から5年。ついに続編がキター!
アレンデール王国の女王となった姉エルサは、妹アナと固い絆で結ばれ、平和な日々を送っていた。が、あるときエルサだけが“不思議な歌声”を聞く。「この平穏を脅かしたくない」と耳をふさごうとするが歌声は強まり、ついに王国に危険が迫る。エルサはアナと、アナの彼氏であるクリストフ、雪だるまのオラフ、トナカイのスヴェンとともに歌声に導かれ、旅に出る。それは自身を知るための壮大な冒険の始まりだった――。
なぜ、エルサにだけ力が与えられたのか? それに二人の両親はどうして亡くなったの? 前作で残されていた意外に大きな謎を解明する続編。物語の必然性は十分だ。
まず印象的だったのは音楽。「未知との遭遇」のあの5音階のごとく印象的な“歌声”は冒頭から耳に残り、それが主題歌へとつながっていく。ビジュアルはさらに美しく壮大に、なめらかになり、エルサの魔法能力も格段にパワーアップ。 風・火・地・水の精霊が登場する世界でさまざまな試練をクリアしていく展開は、RPG的なワクワクも含んでいる。もちろんおしゃべりオラフのユーモアも健在だ。人気をかっさらいそうな、新キャラも登場する。
前作で「ありのままに」と自分を肯定し、解放したエルサだが、やっぱりちょっと心配性で、なんでも一人で抱え込もうとする気質は変わっていない。そんな姉を補完するのが、妹アナの存在なのだ。本作ではアナがよりしっかり者に成長し、ときにエルサを?咤し、正しき方向に導く。前作はエルサのめざめ、今回はアナのめざめ、と言えるかもしれない。
そして旅の終わりに明らかになる重大な真実は、大きなメッセージを含んでいる。「過去の過ちを認め、正さなければ、未来はない」――アナ雪世代の子どもたちは、きっと正しく受け取ってくれるに違いない。(中村千晶)
監督 | ジョエル・シューマカー |
評価 | 3.93 |
解説
天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの同名ミュージカルを映画化。19世紀パリのオペラ座を舞台に、オペラ座に住む謎の男と、彼に見初められた歌姫の物語がつづられる。監督は『ヴェロニカ・ゲリン』のジョエル・シュマッカー。出演は『タイムライン』のジェラルド・パトラー、『デイ・アフター・トゥモロー』のエミー・ロッサムら。台詞のほとんどが歌で構成されているだけに、主要キャストが吹替えなしで挑む歌唱シーンが見どころ。また、スワロフスキー社が提供した豪華シャンデリアも必見だ。
あらすじ
19世紀のパリ、オペラ座に住む伝説の男ファントム(ジェラルド・パトラー)の仕業とされる怪事件が多発。一連の事件は、彼が見初めた歌姫クリスティーヌ(エミー・ロッサム)をプリマドンナにするために起こされたものだった。
監督 | マイケル・グレイシー |
評価 | 4.28 |
解説
19世紀に活躍した伝説のエンターテイナー、P・T・バーナムを『X-MEN』シリーズや『レ・ミゼラブル』などのヒュー・ジャックマンが演じるミュージカル。空想家の主人公が卓越したアイデアと野心で世界中を熱狂させるさまと、ロマンチックな愛の物語が描かれる。監督はマイケル・グレイシー。ミシェル・ウィリアムズやザック・エフロンらが共演。『ラ・ラ・ランド』で第89回アカデミー賞歌曲賞を受賞した、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールが音楽を担当している。
あらすじ
P・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)は妻(ミシェル・ウィリアムズ)と娘たちを幸せにすることを願い、これまでにないゴージャスなショーを作ろうと考える。イギリスから奇跡の声を持つオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)を連れてアメリカに戻った彼は、各地でショーを開催し、大成功を収めるが……。
映画レポート
ミュージカル映画は音楽次第で古いものを新しくリノベートすることができる。つくづく音楽が持つパワーは無敵と痛感させられるのが、本作「グレイテスト・ショーマン」だ。19世紀半ばのアメリカで、人と違うルックスを持つ人間ばかりを集めた見世物ショーで大成功を収めた実在の興行師、P・T・バーナムの成功物語は、衣装やセットはもろ19世紀でも、代表的なミュージカルシーケンスはヒップホップ。8ビート、16ビートで刻まれるリズムに合わせて、バーナム役のヒュー・ジャックマン以下、メインのパフォーマーたちがキレキレのダンスを披露する。その古くて新しい感覚が、当初は戸惑う観客をいつしか不思議な幸福感で満たし始めるのだ。
今年のアカデミー主題歌賞受賞が期待されるメインテーマ“THIS IS ME”を始め、全9曲を書き下ろしたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールの作詞作曲コンビが、前作「ラ・ラ・ランド」と同じくまたも音楽で時代を超越。それらポップな曲に連動して演じられる、360度どの位置からも歌と踊りと空中ブランコが楽しめる立体パフォーマンスは、現代最高の総合芸術“シルク・ドゥ・ソレイユ”の原型か?「グレイテスト」という謳い文句はあながちホラでもない気がする。
実物のバーナムは、興行師になる前は事業に失敗。その後、創刊した新聞で取り上げた記事が名誉毀損訴訟に発展し、訴追を受けて収監されたこともある。やはりホラ男、山師と呼ばれても仕方がない人物だった。そもそも、見た目が人と違う人間を見世物にすることが芸術と呼べるのかという疑問はある。しかし映画では、バーナムの純粋に人々を楽しませたいと願う無垢な情熱が、個性的なパフォーマーたちを劣等感から解放していくプロセスを、ストレートに抽出して行く。
そこに嫌味がないのは、一重に、ヒュー・ジャックマンが放つ“いい人オーラ”のせい。今も賛否が分かれる興行界のレジェンドを理解するため、関連の書籍を36冊読み漁り、演技の手助けにしたというジャックマン。そんな彼の情熱が役柄にも乗り移って、作品はポップで心和む最新ミュージカルとして完成したという次第。ここ数年は役作りで体も顔も過剰にマッチョ化して、まるで別人のようだったザック・エフロンも、ジャックマンにつられて古巣のミュージカルへと帰還して、何だか生き生きと楽しそうではないか!?(清藤秀人)
監督 | アダム・シャンクマン |
評価 | 4.16 |
解説
ジョン・ウォーターズの同名カルトムービーを基にした大ヒット・ミュージカルを映画化。人種差別が残る60年代のボルチモアを舞台に、外見を気にしないビッグサイズのヒロイン、トレーシーが活躍する。監督は『ウェディング・プランナー』のアダム・シャンクマン。ヒロインの母親役で大胆な女装姿を披露するジョン・トラヴォルタを始め、新旧豪華キャストの歌とダンス、さらには60年代を再現したレトロでキュートなファッションなどが見どころだ。
あらすじ
おしゃれとダンスに夢中な女子高生トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)の夢は、人気テレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー」のダンサーになること。ある日、番組のオーディションが開催されると知ったトレーシーは、自分と同じく大柄な母親エドナ(ジョン・トラヴォルタ)の反対を押し切り、オーディションに参加する。
映画レポート
1962年のボルチモア。起床するなりハイテンション、プニプニした肥満体にハッピー感をみなぎらせつつ歌い踊るトレイシーに、たちまち心を奪われる。TVのソング&ダンスショーに夢中な彼女はおデブのコンプレックスなんてブッ飛ぶほど、ポジティブで無邪気。そのエネルギーが、画面を超えて伝染する!
舞台ミュージカルの映画化だが、元はバッド・テイストの帝王、ジョン・ウォーターズ(露出狂役で出演)の監督作。彼のファンは、あまりにスウィートな仕上がりに驚くかも。でも、これはミュージカル。差別の醜さはきっちり伝えつつ、「夢見ること」、「自分を、他人を受け入れること」の大切さがビートに乗って心を満たす。ここにあるのは登場人物のあふれる思いや会話を歌と踊りに乗せて共感を呼ぶ、ミュージカルそのものの魅力だ。
成功した理由のひとつは、愛さずにはいられないほどチャーミングな主役のブロンスキーほか、華と実力のあるキャストがぴたりとはまったこと。二枚目のエフロンはもちろん、超重量級ママ役のトラボルタ(!)も驚くほどラブリーだし、パパ役のウォーケン、意地悪なファイファー、司会者のマーズデンに迫力のラティファーまでが画面をさらう楽しさ! 舞台=ライブのもたらす興奮に決して劣らない「思わず踊り出したくなっちゃう」世界に、のめり込まずにはいられない。(若林ゆり)
監督 | 園子温 |
評価 | 2.47 |
解説
井上三太の人気コミック「TOKYO TRIBE2」を実写化したアクション。近未来都市を舞台に、ストリートギャングの若者たちが繰り広げる抗争の行方を映す。メガホンを取るのは、『冷たい熱帯魚』『地獄でなぜ悪い』などの園子温。主演を務める『HK/変態仮面』などの鈴木亮平とラッパーのYOUNG DAISを筆頭に、佐藤隆太、中川翔子、染谷将太、でんでん、窪塚洋介、竹内力などバラエティーに富んだ顔ぶれが結集。彼らが織り成す熱演や怪演に加え、園監督ならではの鮮烈な演出も光る。
あらすじ
数多くのトライブ(族)がひしめき、それぞれが自分たちの暮らす街を暴力で牛耳る近未来のトーキョー。ブクロWU-RONZを率いるメラ(鈴木亮平)は、何かと敵視していたムサシノSARUのメンバーである海(YOUNG DAIS)と衝突する。そして、それが引き金となって、シンヂュクHANDS、ブッバ家や怪しげな者たちを巻き込んだ一大抗争が勃発してしまう。トーキョーの各地で暴力が吹き荒れるが、その一方でさまざまな愛と友情をめぐるドラマも交錯していく。
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