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監督 | ユーセフ・シャヒーン |
評価 | 3.33 |
解説
第二次世界大戦中のアレキサンドリアを舞台とし、演劇を志すある一人の青年の姿を、彼の仲間やそこで生活をする人々を通し描いた作品。
監督 | 濱口竜介 |
評価 | 4.00 |
解説
第71回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受賞したヒューマンドラマ。かつての恋人に親友が思いを寄せていることを知った女性を筆頭に、偶然と想像をテーマにした三つの物語が展開する。メガホンを取るのは『ドライブ・マイ・カー』などの濱口竜介。『十二人の死にたい子どもたち』などの古川琴音、『グッド・ストライプス』などの中島歩、『水の声を聞く』などの玄理のほか、渋川清彦、森郁月、甲斐翔真らが出演する。
あらすじ
ヘアメイクアーティストである親友のつぐみ(玄理)から好きな男がいると聞かされた、モデルの芽衣子(古川琴音)。だが、その男が元恋人の和明(中島歩)だと知る(第1話『魔法(よりもっと不確か)』)。芥川賞を受賞した大学教授・瀬川(渋川清彦)に落第させられた大学生・佐々木(甲斐翔真)は、復讐(ふくしゅう)を企てる(第2話『扉は開けたままで』)。高校時代の友人である夏子(占部房子)とあや(河井青葉)が、20年ぶりに仙台で再会。当時のことで盛り上がるが、徐々にすれ違っていく(第3話『もう一度』)。
監督 | 山田洋次 |
評価 | 3.62 |
解説
第143回直木賞を受賞した中島京子の小説を、名匠・山田洋次が実写化したラブストーリー。とある屋敷でお手伝いさんだった親類が残した大学ノートを手にした青年が、そこにつづられていた恋愛模様とその裏に秘められた意外な真実を知る姿をハートウオーミングかつノスタルジックに描き出す。松たか子、黒木華、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子ら、実力派やベテランが結集。昭和モダンの建築様式を徹底再現した、舞台となる「小さいおうち」のセットにも目を見張る。
あらすじ
健史(妻夫木聡)の親類であった、タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。それは晩年の彼女がつづっていた自叙伝であった。昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)は、東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働く。そこには、主人である雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)、二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。穏やかな彼らの生活を見つめていたタキだが、板倉(吉岡秀隆)という青年に時子の心が揺れていることに気付く。
監督 | ジョナサン・デミ |
評価 | 4.28 |
解説
若い女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件が続発。捜査に行きづまったFBIは、元精神科医の殺人鬼ハンニバル・レクターに示唆を受けようとする。訓練生ながらその任に選ばれたクラリスは獄中のレクターに接触する。レクターはクラリスが、自分の過去を話すという条件付きで、事件究明に協力するが……。トマス・ハリスの同名ベストセラーを完全映画化したサイコ・スリラー。アカデミー賞の作品・監督・主演女優・主演男優賞といった主要部門を独占。
監督 | エリック・ロメール |
評価 | 3.91 |
解説
ロメールの“喜劇と格言劇”シリーズの第三作で、シェイクスピアの恋愛喜劇のような香気と毒気のある映画。色見本のような紺青の空と海が眩しい、夏のノルマンディ。避暑に訪れた15歳の少女ポーリーヌが初体験に至るまでを、ロマンチシズムとは無縁なるもドライというほどでなく、ロメールらしい辛辣なユーモアをたっぷりまじえ、年長の従姉の奔放なアバンチュールと協奏させる形で描く。
監督 | エリオット・シルヴァースタイン |
評価 | 3.20 |
解説
19世紀末のワイオミング、町の顔役と対立したために殺された牧場主がいた。娘のキャサリンは復讐を誓い、荒くれ者を集めて徒党を組む。やがて下手人が、手下の一人キッドの兄弟と判明する。かつての凄腕ガンマンのキッドも、今ではタダの酔っ払いオヤジ。彼の尻を叩きながら、キャサリンは下手人と対決するが……。ナット・キング・コールの軽快な歌に乗せて、コミカルに展開するほのぼのウェスタン。
監督 | ガス・ヴァン・サント |
評価 | 4.27 |
解説
深い心の傷を負った天才青年と、同じく失意の中にいた精神分析医がお互いにあらたな旅立ちを自覚して成長してゆく姿を描く感動のヒューマン・ドラマ。ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、彼の才能に気付いた政府機関や大企業が接近してくる。
監督 | ウェス・アンダーソン |
評価 | 3.72 |
解説
『ダージリン急行』などのウェス・アンダーソン監督が、格式高い高級ホテルを取り仕切るコンシェルジュと、彼を慕うベルボーイが繰り広げる冒険を描いた群像ミステリー。常連客をめぐる殺人事件と遺産争いに巻き込まれた二人が、ホテルの威信のためにヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走する。主演のレイフ・ファインズをはじめ、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ジュード・ロウなど豪華キャストがそろう。
あらすじ
1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。
映画レポート
まるで名人パティシエのお菓子を口の中に放り込んだときのような、ふわーっと広がり、ずーっと味わっていたくなるような幸福感。こうして思い出すだけで、口角がにゅっと上を向いてしまう。いや、ウェス・アンダーソン監督の作品はいつだってそうだった。だが今回は、新機軸でワクワク感、うひょうひょ感、うっとり感が倍増し! この面白さと新鮮さは、ヨーロッパのストーリーテリングと美意識をもって、ウェス・アンダーソンが彼独特の世界を構築しているところから来る。つまり監督がヨーロッパ趣味を全開にしているのだ。
オーストリアの作家ツワイクにインスピレーションを受けたという監督は、ノスタルジックな回想形式で物語の幕を開ける。舞台は東ヨーロッパにある架空の国。現代の作家が情緒ある古いホテルのオーナーから昔語りを聞く60年代と、その物語が展開する30年代という入れ子構造で、時代ごとにスクリーンサイズが変わるという懲りようだ。
30年代、ホテルの上客だった老マダムが急死し、彼女にとって(そしてほかの多くの老女性客にとって!)最愛の男だった伝説的コンシェルジュに殺人容疑がかかる。彼を慕う新人ベルボーイをも巻き込んで、繰り広げられる奇妙な冒険。スラップスティックなコメディでありながらミステリーであり、世間からちょっとズレた人間同士の親子のような愛情も味わい深い。ここにルビッチやスタージェス、オフュルスといった監督たちへのオマージュを見つけることもできるだろう。ウェス組の豪華スター俳優たちが嬉々としてチョイ役を演じ、現れては消えていくのも贅沢なお楽しみ。もちろんウェス印の構図や撮影も健在だし、虚構世界の醸し出す幻想性が強まって、心をくすぐる。何より、ミニチュア感満載のピンク色をしたホテルとお菓子ボックス、夢のような色彩のインテリアなど、プロダクション・デザインのかわいいこと、素敵なこと!
ツワイクやルビッチに負けないくらい、この映画に大きな貢献をしたのがロケ地となったドイツ東端の町、ゲルリッツだ。訪れたことがあるが実際にピンクのホテルがあったり古いパステル調の家々が並んでいたりして、監督がインスピレーションを受けたことは想像に難くない。ヨーロッパ旅行の折に、訪ねてみてはいかがだろうか。
監督 | ウェイン・ワン |
評価 | 4.02 |
解説
アメリカを代表する作家ポール・オースターが書き下ろした原作を基に、男たちの中に隠された哀しいロマンティシズムを描いた都会の物語。14年間毎朝同じ時刻に店の前で写真を撮り続けている煙草屋の店長オーギー、彼の馴染みの客で突然の事故により出産まもない妻を失って以来ペンを持てずにいる作家のポール、彼が車に跳ねられそうになった所を助けた黒人少年ラシードの3人を軸に、ブルックリンのとある煙草屋に集まる男達女達の日常を、過去と現在を、嘘と本当を巧みに交差させながら進んでゆく。
監督 | バズ・ラーマン |
評価 | 3.63 |
解説
舞台を現代に変え、シェークスピアの『ロミオとジュリエット』を映画化。いがみ合うモンタギュー家とキャピュレット家をギャングという設定に変更するなど、思い切ったアレンジが加えられている。
監督 | ティム・ロビンス |
評価 | 3.84 |
解説
ニュー・オリンズ。“希望の家”で働くシスター・ヘレンは死刑囚マシューからの手紙を受け取り、彼と接見する事になった。マシューは相棒が無期懲役なのに自分が死刑になる事に憤りを感じている。ヘレンは特赦を得ようと弁護士の協力を仰ぐが嘆願は却下され、残るは州知事への直訴だけとなった。被害者の両親たちからは敵と見なされ非難を浴びるヘレン。しかし毎日、アドバイザーとしてマシューと会い話をしていくうちに二人の心は繋がっていく。が、やがて処刑の日が訪れた……。
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
評価 | 3.38 |
解説
鬼才デビッド・クローネンバーグ監督によるSFサスペンス。脊髄に穴をあけ、そこにバイオケーブルを接続して楽しむバーチャルリアリティゲーム。その最新ゲームをめぐり、天才ゲームデザイナーと反ゲーム主義者たちとの闘いが繰り広げられる。クローネンバーグ独特の、奇妙かつダークなビジュアルが満載。究極の体感ゲーム「イグジステンズ」の発表会で、女性ゲームデザイナーが狙撃された。彼女は会場にいた男性と、その陰謀を暴こうとするが・・・。
監督 | テレンス・マリック |
評価 | 3.32 |
解説
1942年、ソロモン諸島。アメリカ軍は日本軍の駐留するガダルカナル島を、太平洋戦争の重要な拠点と見なしその占拠を図った。ウィット二等兵(ジム・カヴィーゼル)やウェルシュ曹長(ショーン・ペン)をはじめとするアメリカ陸軍C中隊の面々も作戦に参加、彼らを乗せた上陸用舟艇は美しい南洋の孤島に次々と上陸していく。だが一歩ジャングルの奥に足を踏み入れると、そこは紛うことなき戦場であった……。
監督 | リチャード・リンクレイター |
評価 | 4.04 |
解説
ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク共演によるラブ・ロマンス。列車の中で偶然出会った一組の男女。二人は意気投合して列車を途中下車し、ウィーンの街をあてどもなく歩く。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、やがてお互いの生活に帰る朝がやってくる……。
監督 | 宮崎駿 |
評価 | 4.19 |
解説
両親と共に引越し先の新しい家へ向かう10歳の少女、千尋。しかし彼女はこれから始まる新しい生活に大きな不安を感じていた。やがて千尋たちの乗る車はいつの間にか“不思議の町”へと迷い込んでしまう。その奇妙な町の珍しさにつられ、どんどん足を踏み入れていく両親。が、彼らは“不思議の町”の掟を破ったために豚にされてしまい……。巨匠・宮崎駿監督が前作「もののけ姫」とは対照的に、現代日本を舞台に少女の成長と友愛の物語を描く、“自分探し”の冒険ファンタジー。
映画レポート
「不思議の町」に迷い込んだ十歳の女の子(千尋)が、両親を豚にされ、名前を奪われ、風呂屋の下女として働くことになり、しかし、そんな無理難題な境遇の中で、自らの「生きる力」を呼び覚まされていく……という筋立て。なぜ両親は豚で、千尋は風呂屋で働くのか? 説明もないし、そもそもこの疑問自体に意味があるのかもわかりません。
一般人には到底理解不能なこの物語は、宮崎駿という「神様」の存在を唯一の説得力とする、極めてアナーキーな映画です。もちろん、われわれ日本国民は、ほぼ全員が過去の宮崎アニメを見ていますから、子供さんは「トトロのまっくろくろすけが出てる」とか、オタクさんは「今度の飛行シーンはイマイチ」とか、OLさんは「千尋 もキキみたいに<働くこと>を通して、社会に居場所を見つけるね」 なんて思ったりするかもしれませんし、もしかするとインテリ爺さんは「風呂屋トイフ空間ハ、<森>同様、<湯>ニヨル生命ノ再生ノ装置ナノダ」とか、納得しちゃうかもしれません。
映画のアナーキーさを国民が各自各様に着地させていくという作業を強いてくるという意味では、次第にシュールさを帯びてきた宮崎アニメ。単にひとつの映画の出来を超えて、この夏休み、スリリングな体験を観客に迫ってくるでしょう。(
監督 | 三谷幸喜 |
評価 | 3.89 |
解説
「警部補 古畑任三郎」などで知られる人気脚本家、三谷幸喜初監督によるコメディ映画。三谷幸喜がかつて主宰していた劇団「東京サンシャインボーイズ」の同名劇をもとに、ラジオ局内で繰り広げられるドタバタ劇をコミカルに描く。スピーディなカメラワークやストーリー展開、ツボを突いた笑いなど、才人・三谷幸喜の冴えた手腕が見どころ。唐沢寿明、鈴木京香、西村邦彦共演。 生放送のラジオドラマを控え、緊張気味のスタジオ。初めて書いた脚本が採用された主婦のみやこも、直前のリハーサルを見学していた。そんな中、突然主演の人気女優が設定を変えたいと文句を言い始める。困り果てたプロデューサーは、みやこに脚本の書き直しを依頼。だが他の出演者も口々に不満を漏らしはじめ、メロドラマだった物語は次第にアクションへと変貌してゆく。
監督 | チャン・イーモウ |
評価 | 3.67 |
解説
紀元前200年、戦乱の世の中国。ある日、のちに始皇帝と呼ばれることになる秦王のもとに、無名と名乗る一人の男が拝謁する。彼は、最強と恐れられた趙国3人の刺客たちの名がそれぞれ刻まれた一本の槍と二本の剣を携えていた。無名は、十歩の距離まで近づけば如何なる相手も一撃で仕留める剣術“十歩必殺”を極め、3人の刺客を討ち倒したという。暗殺者たちから身を守るため百歩以内に誰も近づけようとしない秦王だったが、無名の功績を認め特別に十歩の距離まで近づくことを許し、早速3人の刺客たちを討ち取った経緯を語るよう促すのだった…。
映画レポート
中国の戦国時代、やがて天下を統一して始皇帝を名乗る秦の国王の前に、ひとりの男が現れる。王の命を狙う3人の刺客を倒し、その報酬を受けに参上した彼は、王に請われるまま、事の次第を語り聞かせる。聞き終わった王はしかし、刺客のひとりと実際に剣を交えた経験から、その話の嘘を見破る。そこで語り直される事の真相にもまた裏があり、3度目の正直ともいうべく、ついに誠の真実が明かされていく……。
こんな重層的かつ緊密は文学的構造をもった「HERO」ではあるが、それでもチャンバラが魅力の武侠映画の快感も決して遺漏することなく、武術指導の巨星チン・シウトンは、見たこともない華麗な剣戟シーンを展開させ、さらに監督チャン・イーモウの美学が貫徹されているから、まるで一幅の名画を見せられるようで、それだけで酔いしれてしまう次第。その美学が、語られるたびに反転する物語の色調の変化にも絡む徹底ぶり。また、主演の明星たちの魅惑はいうまでもなく、これぞ映画の醍醐味があり、そのうえ、「身捨つるほどの祖国はありや」と問い返されるほどの今日的テーマが貫かれ、静謐でありながら、熱き血潮燃える骨太の作品。
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