スマートフォンやパソコンで閲覧する電子書籍が普及すると同時に、違法アップロード・ダウンロードといった問題も出てくるようになりました。逮捕者が現れてもなお、これらの違法行為は終息することはありません。この記事では、13dl.netや類似するサイトの違法性と危険性、私たちが取るべき行動についてご紹介します。
総務省が発表した情報通信白書によると、令和2年度のモバイル端末保有率は、96.1%。内、スマートフォン保有率は、83.4%でした。実に、国民の半数以上が、インターネットに接続できる端末を保有していることになります。また、インターネット利用率は、スマートフォンで63.3%。パソコンが50.4%でした。手軽にインターネットが利用できるスマートフォンの普及が進むにつれ、様々なアプリケーションやサブスクリプションサービスが展開されるようになっています。
こうした誰もが手軽で安全に利用できるサービスが増えているにも関わらず、違法性のある海賊版が増えている背景には、一体なにがあるのでしょうか。
一つは、自国にいながらにして、ファイルのアップロード先となる海外サーバーの契約が行うことが可能になっている点が挙げられます。手続きなどの解説は省きますが、クレジットカードやデビットカードを持っていれば、誰でも契約を結ぶことができます。
違反者が海外サーバーを利用する理由として最も多いのが、個人情報の開示請求を受けた際の対応の違いです。国内の管理会社と異なり、開示請求を受けても、業者が無視するケースが多いのです。また、例え開示請求が通っても、アップロード先のサーバーに対して日本の法律が適用できるかどうかは課題点となっているようです。
そして、海賊版サイトが減らない最たる理由が、収益が簡単に得られることにあります。2020年はコロナウイルスによるパンデミックを受けて、外出する機会が減り、同時に失業者も急増しました。収入が減っている中、興味深いコンテンツが無料で見放題となれば、多くの人が閲覧に訪れるのは当然といえます。1訪問あたり0.1円から0.4円が相場であるクリック課金型広告で計算すると、一か月あたりの訪問者数が100万あれば、10万から40万円の収益が見込まれるのです。
Amazonが提供するKindleや楽天のkoboといった電子書籍サービスを利用して、漫画や小説などを楽しんでいる方も多いことと思います。あるいは、コミックシーモアやめちゃコミック、Renta!といったサービスを利用されている方も多いでしょう。
13del.net (http://13dl.net/118975.html)は、インターネットを始めたばかりの初心者にとっては、先に紹介した合法的に電子書籍を販売・閲覧しているサイトと区別がつかないかもしれません。それというのも、どちらも電子ファイルをダウンロードして閲覧する方法をとっているからです。
決定的に異なる点は、著作権法に違反する行為であるか、そうでないかというところです。
実際の書店で例えると、Kindleやkoboは、多少の立ち読みを含め、会計を済ませてから購入した本を読むことができるサービスです。コミックシーモアやめちゃコミックは、これに長時間の立ち読みができる行為が追加されたものです。U-NEXTなどのサブスクリプションは、漫画喫茶に例えるとわかりやすいかと思います。ただし13dl.netに代表される海賊版サイトを利用することは、店舗における万引き行為と同等だと考えてよいでしょう。
13dl.netなどのサイトを利用して、読みたい書籍を無料で閲覧できるというのは、ある意味では天国でしょう。しかしながら、これらのサイトで書籍が読み放題となってしまうと、出版や執筆に関わる全ての人が損害を受けます。素晴らしい作品を提供している代価として支払われるべきものが、失われてしまうからです。
現在出版されている書籍の大半には、著作権が発生しています。2021年(令和3年)1月に著作権法が改正され、違法の対象行為が広がりました。2020年12月末まで著作権法の規制対象となっていたのは、音楽や映像です。これが、漫画や雑誌、小説、写真をはじめ、論文やコンピュータープログラムまでもが対象となりました。
このことを踏まえると、13dl.netや類似するサイトは、漫画・雑誌・小説・写真の著作権を侵害している可能性が高いのです。
海賊版に掲載されている著作物の多くは、サイト上での閲覧ができません。圧縮されたファイルにアクセスするリンクをたどって、目的のファイルをダウンロードし、パソコン上で解凍したのちにようやく中身を閲覧することが可能となるのです。
圧縮ファイルを解凍するまでは、そのファイルが本当に欲しい情報であるかどうかはわかりません。たとえ、欲しい情報が入っていたとしても、そこにウイルスやワーム、スパイウェアなどが含まれている可能性はゼロとはいえません。知らない間に、パソコン上のデータが抜き取られていたり、消去されていたりするなどの被害が起こりえるということは念頭に置いておくべきでしょう。
一冊数百円の商品購入をしぶったばかりに、パソコンに保存されている大切なデータが消える。システムに保存されている個人情報が、外部に流出する。知らないところで迷惑メールが送信されていて、個人の信用が失われることなどがあっては、たまったものではないと思います。
あるいは悪意のある運営者がいた場合、故意にフィッシングサイトや有料プランへの誘導を行うなどの行為が行われる可能性もあります。この場合著作権法違反とはなりませんが、詐欺の被害にあうことは避けられません。
13dl.netのような海賊版サイトの運営費は、広告収入がメインです。広告表示が少ないサイトの場合は、ダウンロードファイルやリンク先にマルウェアが含まれている可能性が高いと考えてよいでしょう。利用者が一定数あり、広告収入があるならば、複数の海賊版サイトを運営することも可能となります。結果として、複数の収入口を得ている運営側の収入が増える一方で、著作権者の収入が断たれることにつながるのです。
世界中に存在するWebサイトの分析を行うことができる、similarweb(https://www.similarweb.com/)を利用して、13dl.netに類似するサイトの調査を行いました。
以下のサイトはすべて、圧縮ファイルをダウンロードした後ファイル解凍をして、閲覧するタイプです。類似サイトのアドレスを知っておくことで、自身が違法行為を行わないようにすることができます。
・manga-zip.net
・cmczip.com
・bszip.com
・dl-zip.com
・dlraw.net
・comics888.com
・shobonnexus.com
・dl-raw.net
・manga1001.com
・manga-zone.org
(情報は、2021年10月のもの)
サイトを訪問するだけでは、違法となりません。ただし最新のアンチウイルスソフトがインストールされているパソコンであれば、まずほとんどのサイトを訪問する前に違法性を警告する画面が表示されます。携帯電話を利用している場合は、パソコンほどセキュリティが強固ではないため、訪問することができてしまいます。
いずれの場合も注意しておきたいのは、サイトに掲載されているファイルをダウンロードしないことなのです。
サイト内にあるコンテンツのうち、違法性のないページからサイトの運営側を掘り下げてみようと思います。
13dl.netにある当サイトについて、から一部引用して紹介いたします。
“本サイトはユーザー自己登録型リンク集であり、
利用ユーザーが自ら紹介した記事のまとめサイトに過ぎません。
(中略)
本サイト管理者によるアップロード等行動は一切行っていません。
(中略)
本サイトは日本語で書いておりますが、日本のサイトではありません。
本サイトに投稿されているリンク先に関してクレームがある方、または法的措置を検討されている事業者様につきましては
リンク先の運営会社へお問い合わせ頂きますよう、よろしくお願い致します。”
以上のように書かれていますが、実際には閲覧者が情報を提供するような入力フォームや、運営会社へのリンクなども見当たりません。サイトに掲載されているリンクは、作品の画像と作品の中身をダウンロードするコンテンツが存在するのみです。
FAQには、ウイルス検出された際の回答が掲載されています。以下は一部引用です。
“ほとんど誤検出、または出版社からの嫌がらせも、なのでご安心ください。
心配たら、ダウンロードが終わったら、こちらにRARファイルを確認してください。
(リンク)
(中略)
VirusTotalは80種類のアンチウイルス製品を使用して検査を行い”
上記は、実際に掲載されている文章が不自然に途切れていました。
文面にあるアンチウイルスソフトが誤検出を起こす件は、残念ながら実際に起こります。しかし、警告ボックスの表示が出版社の嫌がらせというのは無理があります。決して多くはない情報ですが、運営側が著作権者や利用者を軽んじているということがわかると思います。
現在、13dl.netにアクセスすると、一見閉鎖してしまったかのように見受けられます。しかし、実際の作品タイトルなどを入力すれば、ダウンロードページが表示されますので、完全に閉鎖されたというわけではないようです。またミラーサイトともいうべき13dl.toも、同様に稼働しているようです。
サイトを訪問する、サイト内でコンテンツを検索するといった行為だけならば、法律上の問題はありません。ただし、海賊版サイトを作成し、作品をアップロードするといった行為や、掲載されているコンテンツが無断でアップロードされたものだと知りながら、ダウンロードした場合には、著作権法違反となるのです。
私たちがとるべき行動は、こうした違法サイトがあるという情報を得ても、閲覧しに行かないということです。アクセスそのものがなくなれば、運営側も収益が見込めず、サイトを運営していく理由がなくなります。ゆくゆくは本来受け取るべき著作権者の元へ正しく報酬が届くようになり、クリエイター業界も活気づくことにつながると思います。
日本が世界に誇る漫画文化の未来を守るためにも、13dl.netのような海賊版サイトの横行を許してはならないのです。
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